息子に負けた日

3、4年前のある日次女が話しかけてきた。「今日スタバで友達とお茶してたらXX(息子、当時高校生)が女の子と入って来たよ。」、「へえー。生意気やな。」私は極力平静を装ったが、この瞬間私は息子に対する完全な敗北を認めざるを得なかった。

 

私の学生時代にスタバがなかったからではない。私は女の子と喫茶店に行ったことがない。食事は勿論ない。いや、デートすらしたことがない。もっと正直に言えば(これは前出のM君に、よりにもよって結構披露宴でバラされたことだが)学校内で女の子と口をきいたことすらない。(言っておくがM君も同じ。)

 

こう言うととてつもない堅物、硬派のように思われるかもしれないがとんでもはっぷん、二時八分。男同士では人一倍バカを言い、冗談もとばすくせにいざ相手が女性となると・・・。いや、女性と話そうと試みたこともないのでどんな支障があって話すことすら出来なかったか、正確なことは今では思い出せない。

 

こんな情けない男だったので、今思えば実に惜しいチャンスを逃したこともある。忘れもしない高校1年、最初の音楽授業(音楽室)の帰り道、前を歩いていた同クラスの女の子2人が突然こちらを振り返りこう言った。「この子、〇君(私)と付き合いたいって言ってる。今日の放課後、体育館に来て欲しい。」突然のことに何の返事もできないまま2人は歩き去った。一緒に歩いていたT君からは「今のプロポーズちゃうの。どうするん?」と聞かれたが、そんな質問、咄嗟に答えられる訳がない。

 

・・・結局私は体育館に行かなかった。最近この話を娘にしたら相手の女性にとって、最低、最悪の対応だと叱られたが、当時の私はこんな風に考えた。「たとえ女性から付き合ってほしいと言われたとしても、会った以上そこから先の行き先、何をするかは男が考えておかなければならない。そのアイデアが浮かばない以上、女性と会うのは失礼である。」今ならどうしただろう。そんなことは今考えても詮無き事。

 

実に惜しい、と言ったのは私に好意を感じてくれたその女の子がクラス1、いや学年でもトップクラスのかわいこちゃんだったのだ。でも、入学間もない未だ男子同級生の顔と名前も一致しない時期にそんなことなど結果論でしかない。ただ、ハッキリ言えるのはもし、その子がトップクラスのかわいこちゃんだと分かっていたら、体育館に行ったか?いや、行っていない。それと次の日からその2人は言うまでもなく、かなり多くの女子生徒を敵に回したこと。

 

かくして私の高校時代はこと、男女交際に関してはこれ以上ない失策とともに始まったのである。

 

こんな私がなぜ、結婚できたか。それは又後日。