何気ない一言

たった一言の言葉や本で考えが根本から変革を迫られることがある。

 

例えば、西尾幹二氏の「異なる悲劇 日本とドイツ」25年以上前の書籍だ。

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163493602

 

よくドイツ人は戦争の罪を深く反省しているが、日本人は反省が足りないと言われる。私もそう思っていた。しかし、

 

ドイツ人はすべての罪をナチスになすりつけて、自分たちもナチスに騙された被害者だったと発想をすり替えた。だから、簡単に反省できるし、同じ国民だったナチスをどれだけでも悪人に仕立て上げることができる。一方、日本人は当時の指導者も同じ国民だと考えるし、誰かに罪をなすりつけて、我々は知らなかった、などと開き直ることが出来ない国民性、従ってドイツ程簡単には事が運ばない事情があるという。なるほど、その通りだが、こんな発想、当時の私には全くなかった。

 

私も、自身に多少なりとも知識や考えがあることは自らのフィルターを通して批判的に考え、咀嚼することもできるが未知の領域の話には簡単に影響されやすい。例えば男女関係や結婚に関する話などがその典型である。

 

話はさかのぼるが入社した年の実習生時代。松下電器は大企業の中でも研修期間の長いことが有名であった。4月に入社して半年以上の全体研修があり、配属先が決まってからも、更にそこで1~2か月の研修。結局実務を始めるのは年末近くになってからというのが当時の実態であった。今はどうなっているのだろうか。

 

その話を聞いたのは配属が決まってからの経理研修中のこと。研修合間の雑談の中で指導員の方が「結婚するなら絶対に4年制大学を出た相手にすべきだ。短大は勉強だけで明け暮れて余裕がない。それに比べて4年制大学はだいぶゆとりを持った学生時代を過ごしている。しかしその遊びの部分が人間性に幅とゆとりをもたらしている。」

 

何がきっかけでこんな話になったのか、指導員がなぜこんな話をしたのか記憶にない。

ただ、何度も言うが、結婚どころか彼女ひとり居たことがない私には妙な力強さを持った説得力があり、その言葉は私の心深く沁み込んだ。これが数年後にやってくる私のお見合い遍歴に少なからぬ影響力を持ってくることなぞ、この時はまだ知る由もなかった。

 

お見合いについて書くのはしばし待って欲しい。