健康保険の有難さ

30歳を少し過ぎた頃、数歳上の会社の先輩がボヤいていた。「自分は10年以上医者に一回も行っていない。なのに保険料を毎月引かれるのは本当に腹が立つ。」10年だったか20年だったか記憶は曖昧だ。

 

その後、あの先輩どうしてるだろう。今でも病院のお世話に滅多にならない程壮健であれば同慶の至りだがそうもいっていまい。齢を重ねる程病気になりやすくなるし、病院に行く回数も増える。残念ながらこれは本当だ。


私は若い頃から大の病院嫌い、医者嫌いだったが、最近はなんだかんだで1〜2カ月に一回は病院のお世話になっている。今日はたまたま2箇所の病院を掛け持ちしてきた。


私が社会人になった頃、被保険者本人の窓口負担は1割だったが今は3割、即ち負担が3倍になった訳で今日もけして安くはない出費になった。散髪だったらもっと時間を掛けてひげ剃り、洗髪までしてもらって2000円以下。それに比べたら不当に高いような気もするが。あんなに爽快な気持ちにもならないし。


何年か前にマイケルムーア監督の「シッコ」という作品があった。保険に入っていないので医者に掛かれず自分で傷を縫っているシーンが印象に残っている。


そのアメリカではコロナウィルスで病院がパニックになっている状況が毎日のように報道されるているが、運良く退院できたとして膨大な医療費の支払いが待っているのだろうか。亡くなったらどうなるのだろう。遺族に請求されるのだろうか。


アメリカが感染者、死者ともに最多になってしまった背景にはこんな病院へ行くことの敷居の高さも関係しているに違いない。それを思うと日本の皆保険制度は本当に有難い。