情報公害

今朝、妻が最近体重計の調子が良くないので買い換えようと思うと言ってきた。それは要約すれば、いい機種を見繕って買っといてね、という意味だ。無駄に結婚三十年を過ごしてきたわけではない。

 

体重計と言っても私のことだ、そんな高いものを買うはずもない。たかだか数千円のことだ。パソコンというものがない時代なら近くの量販店かディスカウント店せいぜい2,3店廻って買えばお終いだった。

 

ところが今はパソコンがある。どんな機種が売れ筋で、一番安いのはどこで等々、家に居ながら全ての情報が手に入る。10年程前ならまだしもこの段階で最安の店で買えばそれで済んだ。

 

その後楽天だのヤフーショッピングだのが出て来て混乱が始まった。しかも今日は5のつく日だ。いつもより多くのポイントが還元される。妻は今日という日を狙ってあんな発言をしたのか。30年の間につくづく強か(したたか)になったものだ。謙虚になる一方の私を少しは見習って欲しい。

 

そこへ持って最近更に混乱が加わった。キャッシュレス決済なるものだ。ヤフーショッピングで言えば総額の内、幾らをカードで、幾らをpaypayで支払うかで微妙に付与されるポイントが違う。と言ってもたかだか数十円のこと、と割り切れない自身の人間の小ささが恨めしい。

 

結局、購入する機種、店、決済方法全て決め、購入決定ボタンを押したのは夕方になっていた。

 

パソコンが普及するずっと前、ワープロなるものがオフィスを席巻した時代があった。購入の決裁印を貰いに事業部長の元へ伺った時の事業部長の一言、「ワープロが増えるほど残業時間も増えてまへんか?」

 

今日の残業手当を妻に請求しても神様は許して下さると思う。