幻想交響曲

打って変わって、クラシック音楽の話題。標題は言わずと知れたベルリオーズ作曲の作品のタイトル。ベートーヴェン没後僅か3年でこんな斬新な曲が生まれたことへの讃嘆は多くの人が述べている。

 

今回わざわざ取り上げたのは、私の「”幻想”ライブラリー」に新たな名盤が加わったことが大変に嬉しかったからだ。

 

と、言っても昨日今日の録音ではない。1957年の録音だから私の生まれる少し前。指揮者の名前はアルヘンタ。44歳で夭折したスペインの人。レコードの時代から時折、噂は聞いていたが何故か今まで耳にする機会がなく、今日聞いてびっくりした。(ついでに言えばアルヘンタとオッテルローは幻想交響曲以外で名前を聞いたことがない。)

 

演奏の細かいことはさておき、録音も素晴らしい。低弦の土台がしっかりしている上に、高域の華やかさにも欠けていない。私にとっては先ずは理想の音と言って良い。これで私の所有する幻想交響曲のベスト3はモントゥー(1945年盤)、クレンペラー、アルヘンタとなった。世評に高いミュンシュ=パリ管は録音も含め、未だに何処がいいのか分からない。昔からだがEMIの音はひどい。1970年前後なら本来もっと良い音であって然るべきだが。フルトヴェングラー晩年の録音と同時代のRCA録音、例えばライナーやパレーなどと比べるとあまりの違いに唖然とする。

 

(*)音の優れないレコードやCDしか無かった頃、「フルトヴェングラーがあんなに巨大なのは劣悪な音に実態が隠れているお陰でないか」などと揶揄する一部の声があったがグランドスラムやオタケンなどの優秀な復刻盤が出て、それらは彼等の妄想であることが明らかになった。やはり、良い音であればある程、フルトヴェングラーの凄味を実感する。

 

それにしても幻想交響曲は不思議な曲だ。悪く言えば外面的効果だけを狙った通俗曲と言えないこともないのに、少なくとも私の知る限りプロの評論家にせよ、一般愛好家にせよ、幻想交響曲を悪く言う人を聞いたことがない。例えばドヴォルザークの「新世界より」も親しみやすく、聞きやすい名曲だが時折、「底が浅く、何度も聞くと飽きが生じる」などと書かれることもある。しかし、幻想交響曲にはそれがない。

 

これで、あらかたの聞きたい幻想交響曲のCDは揃った。残すはオッテルロー=ベルリンフィル盤くらいか。