物欲が無くなってきた

先日私にクラシック音楽を教えてくれたM君と話していると「これからは既に持っている曲のCDを買うのは辞めた。買うのは聞いたことのない曲だけにする。」とのことで、スクリャービンだのオネゲルだののCDを買っていた。問題は本当に聞くかどうかだ。当分聞くことはないだろう。

 

私とて偉そうなことは言えない。何回か書いているが、私宅には1000枚を越えるCDのコレクションがある。しかし、その内の何枚かは一回しか聞いていないし、中には一回も聞いていないものも少なからずあると思う。いや、ある。

 

世の中の事象全般に言えることだが、徐々にということは存外少なく、気が付けばということが多いのではないか。例えば自転車。街中で乗っていて抜かれることはまずなかったが、最近中高生の自転車にいとも簡単に抜かれることが増えてきた。女子学生にもだ。きっと歩く早さも遅くなっているだろう。亡くなった父親も晩年の自転車の遅さと言ったら、「よく、これでコケないものだ。」と逆に感心する程の遅さだった。

 

前からの習慣だが、よく書店、CD店に赴く。その頻度は10年前、20年前と変わらない。しかし、実際に購入する数は明らかに減っている。ケチになった訳ではない。貧乏になった訳でもない。この内容でこの値段なら何年か前なら絶対に買っていただろうというものも買わなくなった。

 

何故か。今自宅にある本やCDにも手つかずのものが数少なくないのに、これ以上増やしてどうする。生きている内に読み切れないぞ、と考えるようになってしまったのだ。

 

残念ながら老化は心身両面で始まっているようだ。