救われた一言

臨月で帰省中の娘に聞かれた。

「今までこの言葉で助けられたっていう経験ある?」

 

その時は咄嗟に思い浮かばず、ペットは大きなココロの効用がある。物凄く落ち込んだとき、逆に何もかも上手く行き有頂天になつているときでも、人間どもの感情などお構いなしで腹減った餌よこせと要求してくる。その変わらない態度に却って癒される、という話をした。

 

その後思い出したのだが私が救われた一言といえば運転免許を取って間もなくの頃、未熟な運転技術でクルマに傷を付けてしまった時のこと。大変なことをしてしまったという自己嫌悪も大きいが、まだ学生の身、万単位の修理費など簡単に出せる筈もない。かと言って傷の付いたままで乗るのも…。

 

正直に申し出た私に母が言ったひとこと。「人身事故さえ起こさなければクルマなんかなんぼ当てても安いもんや。」この一言にはどれだけ助けられたことか。

 

息子は私に似ず運動神経がある方だが運転技術は誠にお粗末。今まで何回当てたか本人も覚えていないくらいだ。相談してきた息子に私は母に言われたのと同じ言葉をLINEで返した。「お父さん、優し過ぎる。」との返答が来た。

 

母のお陰で少しは株が上がったか。