忘れない内に

忘れない内に短文。私が女性からお誘いを受けたことなんて、片手で充分に足るが一度だけ不思議な経験がある。

 

1985年のことだ。(極端に数少ないのできっちり覚えている自分が情けない。)

 

前に触れた研修派遣中の春休み、研修仲間3人と京都、奈良にドライブに出掛けた。金閣寺に寄った時のこと。カメラを持った女性に声を掛けられた。私はこの時25歳。女性は若干年上に見えたが、こればかりは無責任なことは言えない。

 

私はてっきりシャッターを押して欲しいという事だと思い、いいですよと手を伸ばす間もなく5,6人の女性に取り囲まれた。彼女等の視線の先はと、見るとカメラを構えた先程の女性。はいチーズの笑顔を作る間もなく写真に収まった。

 

彼女等と何か言葉を交わしたか、私には珍しく記憶がない。それだけ一瞬の出来事だったのだろう。覚えているのは旅行仲間のひとりに「芸能人と間違われたんちゃうの?」と冷やかされたこと。勿論悪い気はしなかった。

 

それから大分してふと思った。もし私を芸能人か有名人と勘違いしたのなら、先ずサインか握手を求めてくるのではないか。あの女性達の目的は何だったのだろう。今だったらインスタグラムにアップされて私の人生変わってたかも…。

 

かくして妄想初老男の夜はふける。