半世紀振りの告白

読売新聞に全国こども作文募集の記事が載っていた。選考委員の方々が文章を書くコツを述べているのだが共通しているのは「受けやオチを意識せず、思ったままを素直に書く」ということと「自分では良くないと思った内容が他人から見ると面白いことが多い」ということ。

 

私も新聞の投書欄や業界紙、社内紙への投稿を載せてもらったことは数回あるが、その中で一番権威(?)があったのは小学6年の時に書いた詩が朝日新聞の「小さな目」という欄に載ったことだろう。その後番組名は忘れたがラジオでも朗読、紹介され、放送を収録したテープが家に送られて来ていたことは覚えている。照れくさいのでとうとう聞かず仕舞いだったが。

 

詩の内容は今でもよく覚えている。何なら原文のまま書けるくらい。概要は「家の近くを自転車で走っていたら焼きいも屋さんを見かけた。食べたいが金が足りるか心配なのでしばらく後を付けた。思い切って買った。近くの公園で食べた。」それだけのこと。

 

あれからほぼ半世紀。今ここに白状する。あの詩は実体験ではない、全くの創作であった。

 

第一、詩を書いたのも何かの応募とかではなく国語の授業で全員定期的に提出していたもの。言ってみれば「やっつけ仕事」に近い。それが教委関係者の目にとまり上記のような立身出世を果たすのだから人生何がどう転ぶか分からない。

 

惜しむらくは、その経験がその後の人生に何も活かせていないことだ。誰かがあの時に詩人になることを勧めてくれていたら…。もうすぐ晩酌の時間。