耳触りのいい言葉に騙されるな

私は小学生時代、担任の先生から「計算の神様」と呼ばれていた。確かに昔から暗算は得意だった。インドでは九九ではなく、19x19まで暗算出来るよう学習するらしいが私は今でも二桁x二桁までの掛け算なら暗算出来る。ソロバンや校外学習一切やっていないのにだ。

 

ただ、この暗算能力、良い事ばかりではない。特に私のように1円、2円の買い物の値段差を気にする者にとっては。

 

昨日、某胃腸薬を買った。¥1550からチラシのクーポンで15%引き。いい買い物が出来たと喜んでいたら、今日別店のチラシに¥1185で載っている。他人のことは分からないが、私はどちらが安いか一瞬で分かってしまう。その結果、今私はかなり不機嫌だ。

 

「知覚過敏」という言葉が初めてテレビコマーシャルで使われたのは何年前だろう。私は最初にこの言葉を聞いた時、うまいこと言い換えたものだと感じたことを覚えている。それまで歯が沁みるというのはちゃんと歯が磨けていないか、虫歯というのが一般の認識だった。

 

最近、よく聞くようになった言葉に「繊細さん」がある。私は同タイトル書籍の広告を見ただけだが、これも「知覚過敏」同様、一般受けのいいように考えられたうまい言い換えのように思える。第一、本物の繊細さんならこんなタイトルの本は書かないし、店頭に並んでいても恥ずかしくて手に取れない。

 

他人に気を遣いすぎる、気疲れする、神経をすり減らす、何れも繊細ぶりたい人の喜びそうな言葉だが、本当の「繊細さん」は一見豪放磊落な人の中にこそ潜んでいるように思う。本当の繊細さんは自分が神経の細かい人間だということを他人に悟られたくないから。

 

それでもこの本、なかなかの人気のようだ。私も図書館に予約しているのだが何と78人の順番待ち。

 

さんざ悪口書いておきながら読みたいのだ。