今更言うけど 続

会社員時代、週刊文春を毎週買っていた。今は年に一回、本日発売の新年号のみ。目当ては「顔面相似形」。

 

今でこそ新年号恒例企画になっている本企画だが最初に出たのは通常の号。それは突然「現れた」。朝コンビニで買って通勤電車で読む習慣だったが一目、笑いが止まらない。これはいけないと違うページを見ようと思うが見てしまう。怖いもの見たさの逆バージョン。満員電車の中で一人肩を揺すらせて笑う姿は気味悪かったに違いない。携帯電話が普及していたら通報されていたかも知れない。

 

面接試験を上々の結果で終えた翌週、筆記試験が行なわれた。筆記試験と言っても一般常識のようなテストではなく、ケーススタディに対する回答(考え)を書くものだった。設問は概要以下の通り。

 

XX事業部で不良が発生した。製造部は部品不良だから仕方ないと言い、技術部は設計図通りにやってくれないからと言い、営業部は我々が最前線。謝る身にもなって欲しいと言っている。そこで、

①この事業部の抱えている問題点は何ですか?

②貴方が事業部長なら何をしますか?

というものだった。

 

日課長が声を掛けてきた。先週と全く異なる暗い声。会議室に入るなり言われた。「お前、昨日の筆記試験の回答、何書いたんや?」

 

私の回答は①、②ひっくるめて「お客様に迷惑をかけていることをそっちのけにして責任をなすりつけ合っている姿勢を正さなければならない。事業部長になったら先ず彼らの根性をたたき直す。」概ねこんな事を書いた。

 

課長は呆れたのか私の回答へのコメントはせず「アホやなあ。お前の回答、点付いてないぞ。」

 

如何に面接で良い点数を得ていても、筆記試験がほぼゼロ点では昇進に届く筈もなかった。

 

では、私はどのような回答を書いておけば良かったのだろうか。「不良品撲滅対策本部を作って陣頭指揮を取る」くらい書いておけば、あるいは筆記試験が普通の学力テストであったら私も何点かの評価を貰えてめでたく昇進出来ていただろう。でも、今それを言っても詮無きこと。

 

あれからほぼ30年。コロナで責任を擦り付け合う国と地方を見ていると私の回答は先見の明があり過ぎたのだと自分で自分を慰めるクリスマスの夜。