功労者?

かつて数年程前までNHKの年末番組にこの1年の日本、世界での出来事を振り返る「ニッポンこの1年」?という番組があり確か12/30の放送。その前日の12/29には同じ趣旨のスポーツ版「スポーツこの1年」という番組があった。大変な好番組で毎年楽しみにしていたのに何故止めてしまったのだろう。

 

そのことはさておき、世界中の政治、経済、事故災害あらゆる出来事を取り上げる番組と同等の扱いでスポーツのみの番組も存在していたということは如何に我々がスポーツに熱意を持って関心を寄せているかの証左でもある。阪神が、或いは巨人が優勝してくれたらボーナスが多少減ろうと構わない、そんな国民がたくさんいると思う。スポーツ嫌いを公言している私であるが2000年のシドニーオリンピックでの篠原選手の誤審には心底腹を立てたし、何週間は他の事は何も手に着かない、そんな心境だったことを覚えている。

 

今回の森会長の失言問題の波紋が広がっている。テレビや新聞では辞任か解任以外、日本が信用を取り戻すことは出来ないなどと勇ましいが恐らくどちらも望み薄だろう。この森という御仁、私の推測だがフランス革命時のマリーアントワネットのような浮世離れした感覚の持ち主に見える。民衆が「パンを寄こせ」と叫んでいるのに「バンがなけれはケーキを食べればいいじゃない」と言った、あの感覚だ。本人は何を間違ったのか恐らく分かっていないのだろう。

 

国民アンケートでは70-80%がオリンピックを延期、中止すべきと考えている中、今回の発言、何が罪深いと言って少数派のオリンピックやるべき派の人間まで敵に回してしまったことだ。私個人的には東京一極集中をより加速させるだけのオリンピック開催には元々(誘致時点から)反対だったが、唯一この日の為に掛けてきた現役選手のことを思うと何とか開催してあげて欲しい、そんな気持ちだったが、そんな気持ちもいっぺんに萎えてしまった。

 

それと言うのも山下IOC会長、室伏スポーツ庁長官、橋本オリンピック担当大臣みんな素晴らしい結果を残した元アスリートだ。世界的な知名度なら森など足元にも及ぶまい。そんな彼らが揃いも揃って、ほとんど何の抗議もしていない事に幻滅しているからだ。「適当な発言ではなかった」、「遺憾に思う」では何も言っていないのに等しい。

 

あれだけの名選手、現役時代は世界に敵なしの強者でも一度公職を貰ったら、あんなにもお上に弱くなるのか、ということは元金メダリストの○も現役最強のXもあんな風になってしまうのか。多くの人がそんな、したくもない想像をしてしまった。

 

かくして森会長はオリンピックを一番推進しなければならない立場だったのに、一挙に反対派最大の功労者になってしまった。嗚呼