タイガー・ジェット・シン

往年の名プロレスラー、タイガー・ジェット・シンさんの東日本大震災支援に日本政府から感謝状。

https://mainichi.jp/articles/20210226/k00/00m/040/018000c.amp?

 

ジェット・シンさんと言えば過去来日した外人レスラーでも5本の指に入る悪役。アントニオ猪木さんと白昼の街中で乱闘騒ぎを起こしたことも記憶に新しい。

 

でも悪役の方が実は人が良いというのはドラマも格闘技の世界でも同じということは当時の私の幼心にもうっすら感じていた。(ドラマの例では「渡る世間に鬼ばかり」の赤木春恵さんと泉ピン子を見れば一目瞭然。)

 

少しマニアックな話になるがプロレスの場合、悪役を「演じる」のは有色人種や敗戦国、また体格、相貌が常人離れしているなどのマイナス側面から「やらされる」場合が殆どで、ジャイアント馬場さんもデビュー当時アメリカでちょび髭、下駄履きの「憎っくきジャップ(日本人の蔑称)の姿」でリングに上がっている。

 

日本が経済的に発展し、日本人レスラーがやっと普通の扱いを受けられるようになった頃、欧米ではアジアやアフリカ系のレスラーはまだまだ差別的な待遇を受けていた。ある黒人レスラーが「ゴング」(プロレス雑誌)のインタビューで「自分がよく日本に来るのは日本だけが我々を普通のレスラーとして扱ってくれるからだ。日本は世界一平等な国だ。」と語っていたことが忘れられない。

 

タイガー・ジェット・シンさんはインド系、よくコンビを組んでいたアブドーラ・ザ・ブッチャーさんはアフリカ系。ブッチャーさんが控え室でも他の白人レスラーから差別的な言動を受け、じっと耐えているのを知った馬場さんが別の部屋を用意してくれたことをブッチャーさんはずっと後年まで忘れなかったと言う。

 

上の記事にもあるようにタイガー・ジェット・シンさんが「日本は第2のふるさと」と呼んでくれているのも同じような背景があるのだろう。

 

この記事にはないが、テレビでは「地震のニュースを知った時は胸が潰れそうだった。今話していても涙が出てくる。」と語っていた。本当にいい人だ。