気を遣わない方が親切な場合もある

少し前に書いた研修同期の方の訃報、いい人ほど早く亡くなるなあ、という話をすると娘から「前世で苦労した人ほど早く天に召される」と言うので理由を聞くと「せめて今生では早く楽にさせてあげよう」と神様が思われるとのこと。なるほど。

 

そう言えば「神様は一番合いそうにない二人を夫婦にする」という話も聞いたこともある。こちらに対する感想は触れないでおこう。

 

飼い猫が今月28日で10歳になる。この猫を飼い始めるほんの寸前まで私は断然犬派だった。私は結構動物に好かれる方で他家の飼い犬や野良犬など初対面の犬にもよく懐かれたが猫だけは駄目、頭を撫でることすら許してもらえなかった。

 

子供の頃に読んだ犬の飼い方の本に「犬は時に人間よりひとの心を分かる」とあったが猫は違う。飼い主の体調、心情なんて一切斟酌しない。私が病気で臥せっていても、はたまたノーベル賞をもらって皆からチヤホヤされるご身分になっても猫はおそらく「そんなこと、どうでもいいから早く餌寄こせ」と要求してくるだろう。

 

妻の体調が悪いのに「今日の晩ごはん何?」などと聞く夫は嫌われる典型のように言われるが、歌手の太田裕美さんは乳がん手術後の静養中に息子がいつもどおり接してくれたのが何より嬉しかったと話していた。もし変に気を遣われて「お母さんは寝ていていいよ。」などと言われたら却って落ち込んでいただろうと。

 

猫は気を遣わないようで一番気を遣っているのかも知れない。