出来てしまったことは・・・

7年前父親が亡くなった時、一番処分に困ったのは大量のVHSビデオテープだった。今ならまとめてゴミ箱行きだが(何しろ再生機器がない)、当時はまだビデオデッキを保有していたのだろうか、少しだが私と父親で同じ趣味関心のものがあり(エロ以外で!)、逐一内容を確認したのだと思う。

 

数十本以上に及んだこれらのテープ、果たして父親は2度3度見ただろうか?恐らく見ていない。日々の放送を見るだけで手一杯。何かの事情で通常の放送が出来なくなるような事態でも起こらない限り先ず見る機会はない。私も同じだ。

 

では何故父親はかくも多くのビデオテープを残したのか、「いつか見る(かも知れない)」という考え以外にとにかくテレビを録画出来るというそのこと自体が嬉しくて仕方なかったのだと思う。

 

いや、私にとってもテレビを録画するなんて長い間夢のまた夢、我が家にビデオデッキがお出ましになったの20歳を過ぎていたと思う。40年前の10万円。安い買い物ではなかった。当初はテープも高かった。後に100均でも売られることになるテープが1000円近くしたのではないか。

 

それを思うと今は夢のような時代だ。録画予約にしてもビデオデッキ時代は何月何日何時何分から何時何分まで、何チャンネル、標準か3倍速か全部手入力。番組表から一発予約なんて芸当は及びもつかない。しかも録画出来るのはひとつのチャンネルのみ。当たり前だが重なったり、テープの収録時間を超えるものは予約出来ない。ハードディスクなんて言葉、聞いたこともなかった。旅行や帰省で数日家を空けるときはテレビガイド片手に長思黙考することもしばしばであった。

 

だから、私にとってはDVDレコーダーというのは夢の玉手箱のような商品だ。今のレコーダーは買って3年くらいだが既に100本以上の番組が入っており、その大半はNewのマーク(1回も見ていない)が付いている。恐らく見る前にレコーダー自身に不具合が出るだろう。

 

ディスクの数も凄まじいことになっている。ちゃんと数えてはいないが3、4百枚はある。父親の事を言えた義理ではない。そして父親と同じく2度以上見たものは殆どない。

 

ここだから正直なことも書くが、あまり家族に見られたくないような内容のものも少なからずある。捨てる勇気はまだ無いがもし将来医者から余命宣告を受けたら真っ先に廃棄しようと決めている。

 

もし私が突然死するようなことがあつたら何もせずに全数廃棄して欲しい。

 

首題の件に触れる前に長文になってしまった。次項へ続く。