自分は幸せだ。そう思わないと罰が当たる。

久しぶりに身体に電気の走るような凄まじい言葉を聞いた。日曜深夜のドキュメンタリー番組。テーマは「里親」。

 

主人公は産まれたその日に母親に捨てられた(電話ボックスに置き去り)青年。10年前高2とのことだから26-7歳か。母親はまだ分かっていない。今は育ての親と離れて一人暮らししている。

 

登場シーンは久しぶりに里親の家に帰る車の中。運転しながら「実はあまり実家に帰るのは好きではないです。」彼が実の子ではないのを知ったのはその高2、父親に勉強を教えてもらっていた時のこと。なかなか理解の進まない彼に父親が言った。

「なんでこんな事が分からないのかなあ。やっぱり俺の子ではないからかな。」

 

その時母親は泣くばかり。そこに父親が「お前も子供ではないのだからお母さんの気持ちは分かるだろう。」・・・

 

親の素姓は一切語らなかった彼だが、父親はただ跡取りが欲しいだけだった。

 

胸が震えた言葉は番組の最後。産みの親に対しての思いを彼が語った。

「幸せであってほしいと思っています。実母に対しては。」

「(幸せで)あってほしいではない、もう少し強迫的に。」

「捨ててまでのことをしたんだから幸せになつていないと。」

「それでもやっぱり私は幸せになれませんでした。では許されない。」