贅沢な悩み

チャップリンが極貧の子供時代を過ごしたことはよく知られている。そのチャップリンアメリカ映画界のトップスターになり、初めて契約を交わした時、莫大な金額の契約書を見て彼は涙をこぼすのである。嬉しいからではない。彼の言葉を再現すると(記憶で書く。概ね合っていると思う。)、

「こんな大金を目の前にしても何も欲しいものが思い浮かばない!そう思うと訳もなく涙がこぼれてきた。」

 

 

年一回のレンタルビデオの更新ハガキが来た。ご承知のように最新作でも一本無料で借りられる。何年か前まではこのハガキが来るのが楽しみだった。借りたいものを絞るのに苦労する程だった。

 

処が最近借りたい(見たい)ものがない。思い浮かばない。それなら家族は?と作品名の写った棚の写真を妻や子供に送る。返答は揃って「特にないなあ。」そう言えば映画館も長い間行っていない。「ボヘミアン・ラプソディ」が最後だ。3年位で前か。映画館で味わう感動は絶対にテレビでは得られないと確信しているのに。

 

今はビデオなど借りなくても配信で見られる。画質も良好だ。

 

昔は録画なんて夢のまた夢だった。ビデオなんてプロの世界のものだった。昭和50云年初めて迎えたビデオは正にVIP待遇だった。

 

チャップリンと違って贅沢な悩みだがこれも世の時勢の流れか。

 

この項続く。