嫌なものを見た

息子がめでたく就職試験に合格し、妻と氏神さまの神社へ御礼参りに行った。帰り道スーパーに立ち寄り、買い物を済ませ外に出たすぐ目の前でその現場を見てしまった。

 

古い軽自動車が駐車場の仕切り線とはかなり斜めに止まっている。最初はよく見えなかったが、車のフロント部が線をだいぶはみ出しているように思えたがやはり、果たしてその通りだった。隣の車の横っ腹に頭から突っ込んでいる。被害車はアルファードヴェルファイア)。年式は分からないがピカピカの新車に見えた。車内に人はいない。恐らく買い物中だろう。

 

一方、軽自動車の車内には老夫婦が座っていた。ふたりとも小柄で見るからに人の良さそうな方に見えた。本当に事故直後だったらしく、人だかりも出来ていない。

 

私が心を打たれた(この表現がおかしいのは分かっている)のは軽自動車の中のふたりが「自分が何を起こして次に何をしなければいけないのか」がよく分かっていないように見えたことだ。目撃したのはほんの数秒、駐車場の係員が駆け寄って来るのが見えたので足早にその場を立ち去ったがその後の展開を想像すると気が重くなる。

 

警察が来たのか、被害車の人がどんな反応を示したのか、それは分からない。私の知り合いで買って僅か2ヶ月の車が全損の被害に遭った者が居たが、例え車両保険に入っていても新車は買ってもらえない。保証されるのはあくまでその車の販売後2ヶ月経った中古車としての査定価格だったという。これでは泣くに泣けない。

 

一方、軽自動車に乗っていた老夫婦。自分達が車をぶつける1秒前まで高齢者の事故など他人事だと思っていたことだろう。子供達は近くに住んでいるのだろうか。「もう絶対運転するな!」強く注意されただろう。明日からの買い物、通院はどうするのだろう。

 

そしてふと気付く。自分達もそちらの年代に近付きつつあるのだ。