味覚音痴

昔バナナは高級品だったということは若い人も聞いたことがあると思う。実際、私の幼い日の記憶でもバナナを食べられたのは遠足とか運動会などの行事がある時のみ。家は中の上くらいの生活レベルだったと思うがそんなものだった。

 

今の子供にバナナのイメージを聞いたアンケート結果を見たことがあるが「猿のエサ」という回答にはさすがにショックを受けた。自分の子供だったら首を絞めていたかも知れない。

 

昔高級品だったのに今安くなったものと言えば卵もそうだ。米を敷き詰めた箱に恭しく卵を埋めたものが中元や歳暮に使われていたから当時の値打ちが想像できる。

 

 

逆に昔安かったのに今高級品になったものは何かあるだろうか?極端な例が許されるならマグロのトロやクエなど、昔は見向きもされなかったと聞くが、今では手に入れる事が大変困難になってしまった本当に旨い野菜とか肉こそが当てはまるのだろう。農薬漬けの野菜やブロイラーの肉が美味かろう筈がない。

 

野菜や肉だけではない、加工食品の豆腐やうどんなども店に依っては信じられないくらいの安価で売られているが一丁数十円の豆腐、一玉20-30円のうどんがまともな製法で作られているとは考えられない(私がこれらの値段に詳しいのは日頃お世話になっているからだ)。

 

小学生の頃、お城や川での釣りのエサによくうどんを使ったし、実際それでよく釣れた。その後20年ほど前になるが、久しぶりの川釣りにうどんを使ったが魚は食い付こうともしなかった。

 

人間より魚の方が食べ物の味をよく分かっているとは皮肉なものだ。