引き際を決めるのは難しい

体操の内村航平選手が一線を退くというビッグニュースが飛び込んで来た。これは取り上げない訳には行かないと思っていたらいつの間にか全てのリンク先が「指定されたURLは存在しません」になっている。サイトの早とちりか。内村選手が意向を変えたか。

 

スポーツ選手は体力の衰えがはっきり自覚出来るからまだしも、歌手などいつ引退するかは非常に決めにくいだろう。先日橋幸夫さんが「思うような声が出なくなった」ことを理由に来年引退することを表明したがこれなど数少ない事例で昔はあれだけ奇麗で歌も上手かったのに何故?と思わず目を覆いたく、もとい耳を塞ぎたくなる程、悲惨な事例は多く目にしてきた。

 

歌が上手いと言えば老若男女誰しも美空ひばりさんの名前を挙げるだろう。あまりに長い間、歌謡界の女王として君臨していたので忘れがちだがひばりさんは52歳の若さで亡くなっている。今の私より10歳も若い。つまり我々はひばりさんの衰えた姿(歌唱)を知らないのだ。

 

ひばりさんが歌の上手さを認めた数少ない歌手の一人にちあきなおみさんが居るが彼女も40代で引退しており、やはりひばりさん同様衰えた歌を聞かせることなく我々の目の前から姿を消した。

 

森昌子さんと言えば今の若い人には○(覚えていない)の母親という事で知られているようだが彼女も抜群に歌が上手かった。デビューからまだそれ程経っていない頃だったと思うがひばりさんから「私、あまり人のことを褒めるのが好きじゃないけど貴方本当にお上手ね。」と声を掛けられているシーンを見た覚えがある。その彼女も確か2、3年前引退したのではないか。

 

東日本大震災後、しばらく民放からCMが消えた。そして久し振りに再開したCMのひとつがサントリーの「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」を有名人の歌唱で繋ぐ例の有名なコマーシャルだった。これら2曲を歌った坂本九さんも日航ジャンボ機墜落事故で43歳の若さで亡くなっている。

 

CMではないが当時盛んに流れた日本広告審査機構が取り上げたのも金子みすゞさんの作品だった。彼女に至っては僅か26歳で亡くなっている。

 

引き際は勿論本人が決めることで他人がとやかく言う筋合いのものではない。スポーツ選手でもチャンピオンのまま辞めるのもボロ布のようになるまで戦うのもどちらも美しい。

 

上記の坂本九さんと金子みすゞさん何れも若くして亡くなっているのは偶然かも知れない。しかし日本人はどうも夭折した人により心を惹かれる傾向があるようだ。