ソニー株式会社

ある人のエッセイに書いていたのだが、まだテレビがそれ程普及していない頃その人が奮発して買ったところ、翌年その会社(確かシャープ)から年賀状が届いた。そこには

「X(テレビの型番)は私共の子供です。今年もよろしくご愛顧の程お願い申し上げます。」と書かれていた由。 

 

自社の製品を買ってくれた客にいちいち年賀状を出すなんて今なら考えられない。当時のテレビはそれ程の貴重品で買う人の数も少なかったのだろう。

 

何回も触れているように私は松下電器に在職していた。愛社精神も人並みにはあるつもりだが今ソニーと比べて松下の方が優れている点は何かあるかと問われると回答に苦しむ。残念だが世間の人はもはや対等な会社とは見ていないかも知れない。

 

そんな両社だが私が松下に入社した頃は全くの逆。松下はVHSビデオが空前の大ヒットでまさに我が世の春を謳歌、一方ソニーは対抗して出したベータビデオが大コケ。確かその頃の株主総会が史上空前の長さになったのではないか。一方で松下は数十分でしゃんしゃん。私はこの時程いい会社に入って良かったと思ったことはない。

 

では入社前、私は両社をどう見ていたか。専ら自分の趣味であるオーディオ機器メーカーとしてどうかと言う観点だがやはり松下に一日の長、と言うか2歩も3歩も松下がリードしていたと言うのが正直な感想。だからもしソニーが関西の会社であったとしても、勿論両方に受かればの話だがソニーを選ぶことはなかっただろう。

 

 

この文を書きながらふと思ったのたが、今思うとソニーは余り本格的なオーディオに注力していなかったのかも知れない。もし、それが程なく訪れるオーディオ不況を予測してのものだったとしたら・・・。

 

ソニーについて書きたかったのはこんな事ではない。続きは次回。