郷土愛?

先程、選抜大会決勝が終わった。試合は見ていないが今回ほど虚しさを覚えた大会はない。けして野球好きではない私ですら。

 

「巨人大鵬卵焼き」。実は大鵬さんはこの言葉があまり好きではなかったそうだ。「巨人は集団でやっている。わしはひとりで頑張っている。一緒にするな。」と言っていたそうだが、今回感じる虚しさもそこに原因があるような気がする。個人競技、例えば陸上のウサイン・ボルト、ボクシングの井上尚弥、圧倒的に強い。負ける姿が想像出来ない。でもそれで彼らの、ましてや陸上やボクシングそのものの人気が陰りを見せるということはなかった。大阪桐蔭は集団だ。しかも鍛えて強くなったというより、元々出来上がっている選手を寄せ集めた集団に見える。試合前に整列した時点で相手チームとの体格差が歴然だ。

 

これで夏も優勝するようなことになると公の場やマスコミで高校野球批判が出てくるのではないか。高校野球が無くなっても私は一向に構わないが。

 

 

再放送で見ていた「フリーター、家を買う」が昨夜終わった。最後の最後、何と主人公の嵐、二宮君が心を寄せているヒロインの香里奈さんが和歌山に行くという。それも2年間も。「一体何をしに?来ても何もないよ。」脚本上のことと分かっているのに、思わずお節介が出そうになる。セリフを聞き逃したのでウイキペディアを見ると「夢を叶えるために和歌山に行く」とあるが、和歌山のどこに行って何をしたいのか全く見当がつかない。県民の私でも思い浮かばない。太地町に行って捕鯨船にでも乗るつもりか?

 

などと、つい茶々を入れてしまったが全国放送の番組で和歌山の名前を聞くのは純粋に嬉しい。何故なら和歌山ほど取り上げられる機会の少ない県も他にあるまいと思うからだ。例えば「秘密のケンミンSHOW」で取り上げられた回数の少ない県のワースト5には確実に入っているだろう。レコーダーの番組検索で和歌山と息子が先日まで住んでいた高知を比べるとその差は歴然だ。高知は和歌山より人口が下回る数少ない県なのに取り上げられる番組の数は旅にせよ、グルメにせよ圧倒的に多い。

 

滅多に取り上げられないから番組内でのちょっとしたこんなやり取りも覚えている。「シン・ゴジラ」が封切りされた頃のワイドナショーでの会話。

松本さん「ゴジラが狙ったように東京湾に浮かんでくるのが不自然なんよね。これが和歌山とかやったらもっとリアリティが増すんやけどなあ。」

デヴィ夫人「和歌山に出ても壊すビルがないからよ。」

東野さん「あります。あります。和歌山にもビルはあります。」

 

正しいことを言っているのはデヴィ夫人だ。もしゴジラが和歌山に来たら倒すビルのあまりの少なさにあ然とするだろう。悪い冗談だがもしロシア軍が来ても既に爆撃済みと勘違いして素通りするだろう。

 

昔「近畿のおまけ」という自虐ソングが流行った。自分で自分の出身県を良く言わないし、実際良いと思ってもいないがなにかの機会で取り上げられたりすると何故か無性に嬉しくなる。

 

この複雑な郷土愛。