音楽の雄弁

もう、聞けないと思っていた秋ひとみさんのCDが発売されると知った時以来の喜びだ。

 

先ずは聴いてほしい。

https://youtu.be/bRBZFSBkEeg

何年か前かなり熱心に捜しても見つからなかった。曲名が「生産性向上のためのBG音楽」そりゃ見つけられない筈だ。アップして下さった方にはどれだけ感謝してもしきれない。

 

我々世代の者がこの曲を聞いて思い浮かべるのは1にも2にも吉本新喜劇。この曲が使われていたのは何十年前だろうか。昭和であることに間違いない。

 

先日開局したBSよしもとで昔の新喜劇が放映されているが、この頃の新喜劇は笑わせるだけでなく、泣かせ、考えさせ、人生の何たるかを教えてくれた。10代前後の多感な時期にこんな優れた作品に毎週接することのできた我々は何と幸せな時代を過ごしたことか。

 

そしてこの音楽!有名な今のテーマ曲(フンワカパッパ〜)より音楽的にはるかに上等なだけではなく、センスも抜群だ。私の記憶では当時、両曲は併用されていた。番組別だったのか放送局で使い分けていたのか記憶は定かではないが何故今の曲だけが残ったのか。はっきり言えるのは今のお笑い一辺倒になった新喜劇には昔のテーマ曲は似合わない(敢えて言えばもったいない)。

 

同じように泣き、笑い、考えさせてくれたチャップリン映画のテーマ曲も悲しく荘重な曲が多い。有名なライムライト(テリーのテーマ)は喜劇ではないがサーカス、街の灯、モダンタイムス、何れも喜劇のテーマ曲とは思えない。もしこれらの音楽がコミカルで軽快な曲だったら作品の印象も随分変わったものになっていたような気がする。

 

アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」も本来は友人を殺して金の恋人を奪うという犯罪がメインの映画だがニーノ・ロータの哀切に満ちた音楽のおかげで青春の悲哀がクローズアップされて迫ってくる。

https://youtu.be/FTiMT0y89yg

 

音楽にはかくも大きな力があるのだ。