今なお生きるチャップリン

いつも見ている8チャンネルの夕方のニュースがスポーツ中継かなんだかで放送がなく、仕方なく他のチャンネルを見た。冒頭の「全国の皆さんこんばんわ。」これはいい。問題はその次だ。「今日の東京は○月並みのとても寒い一日でした。」だと。は〜?それがトップニュース?東京が少々寒かろうと暑かろうと何の関心もないのですけど。そりゃ夏の沖縄に雪が降ったとか冬の北海道で猛暑日が来たのなら判りますよ。それとも下々の者は先ず東京の気候を聞かなければならない法律でも出来たのですかねえ。

 

 

 

昨日始まった「silent」というドラマ、当初妻が見る用に録画していたが娘から朝早く「とても良かった。泣いた。」とLINEがあったので初回だけ、と妻と一緒に見た。なかなか良く出来たドラマだと思う。そして娘が(皆が)泣いたのはラストシーン、元恋人が聴力を失っていることが白日の下に晒される場面だったであろう。珍しく鼻声になっている妻を横目に(この人の泣いている姿を本当に見たことがない。昨日も花粉症による鼻声だったのかも知れない。)私は徐々に白けていく自分を抑えることが出来なかった。

 

私が白けていったのは、チャップリンの名作「街の灯」の正にこのシーンを想起したからに他ならない。

https://bohemegalante.com/2020/05/27/charlie-chaplin-city-lights/

 

この花売り娘と初めて出逢うシーン、勿論チャップリンはこの娘が全盲であることは知らない。それをチャップリンはこれ以上考えられないというほど巧みに、しかもユーモアも混じえて表現していく。

 

本来身体の機能に欠陥があることを紹介することはとんでもなく悲劇的なこと、それをこんなに明るく?違う。しなやかに?いや違う。鮮やかに?それも違う。私の拙い語彙が尽きた。とにかく表現出来るのもやはりチャップリンの天与の才の為せる技であろう。

 

一本に数日しか掛けられない連続ドラマと数年に一本しか作品を作らなかったチャップリンの映画は勿論同日には語れないし、比べるべきでもないと思う。

 

でも私がこのシーンを見てチャップリンの映画を思い起こしたのは事実だし、もしこのドラマの関係者がチャップリンのことを意識していたとしたらこんな嬉しいことはない。