今年最大のニュース

私より3歳上のコラムニスト、泉麻人さんが40歳になった頃だから25年以上前になるが「40歳になってしまった」という一文を寄稿しており、40歳になって感じる身体や考え方の変化などに触れていた。その中で「この歳になると同窓会の名簿にもぽつぽつと故人という表記が出てくる」どいう文章があり、深く記憶に残っている。

 

個人情報保護の問題もあり、今は同窓会名簿そのものを見る機会も少ないが何年か前に見たそれには確かに何人か故人となっていた。その中には一度も口を利いたことのない人もいれば、同じクラスの時には結構話をしていた人もいて、それはそれなりに感慨深いものがあったが今は何の交流もないので特にそれ以上のことを感じることもなかった。

 

でも、これが今も交流のある、しかも一番何かと会ったり話したりする機会の多い友人となると話は180度変わってくる。

 

最初に断っておくが、彼は亡くなった訳ではない。今も普通に日常生活を送っている。ただその彼がガンの宣告を受けたことを聞いたのが2日前。そのことだけでも私には充分メガトン級の大打撃だ。

 

彼の話をまとめると痔があるので大腸がんの便潜血検査ではいつも陽性になっていた。それで一度内視鏡検査を、と受けると内視鏡では取り除けない大きさのポリープがあり肉片を検査した処、がんであることが分かったらしい。検査した病院に大学病院を紹介され昨日、今日と精密検査を受けている筈だ。

 

一昨日の電話で確定していることとして、手術を受けること、期間は分からないが一時的に人工肛門になることなどが彼の口から語られた。

 

私は入院の経験こそあれ、手術の経験はない。身体にメスが入ったことがない。歳の近い友人、知人、親戚。周りを見回してもひとりもいない。まさか、その一人目が彼になるとは。

 

手術が成功し、がんが完全に取り除かれることは勿論確信しているが、それにしても改めて気付かされたのはがんはけして他人事ではないということだ。

 

彼はその気になれば少々イケる口の私など比べ物にならないほどの酒豪だが日頃は節制に努め日常の飲酒量は私より遥かに少ない。一時期吸っていたタバコも何十年も前にきっぱり止めた。けして太っていないのに最近体重が増えたから、と昼はこんにゃくゼリーにしていた。話に聞く限りがん家系でもない。

 

そんな人でもガンになる時はなる。当たり前だがそんなことを改めて学んだ。

 

検査結果はどうだったのだろうか。他人事とは思えないほど気になるがこちらからは聞きにくい。還暦にもなってこんな感情を味わうとは。