やる気を無くす

1985年アメリカに行った時、驚いたことのひとつは銘柄によってビールの値段がまちまちだということだった。当然私は1番安いビールを探した。「クアーズ」という名前を知ったのはその時だ。

 

そう、その頃日本ではビールの値段は同一、どこで買おうと、銘柄が何であろうと1円たりとも違わないのが当たり前だったのだ。

 

それから数年、たまたま出掛けたスーパーのイートインコーナーでひとつだけ安い値段で売られていいるビールを発見した。サントリーホッブスという商品で私が手にした最初の発泡酒。その頃私の晩酌の中心はビールだったがあまり値段が変わらなかったのか、味が気に入らなかったのかリピーターになることはなかった。

 

今スーパーに行くと覚えきれない位のビール類が並び値段も味も格段に選択肢が増えた。当初一番高いプレミアムビールと一番安い新ジャンルでは値段に倍以上の価格差があり、さすがにこれだけの値段が違うと少々の味の差など言ってられない、私始め多くの庶民が新ジャンルに飛びついた。新ジャンルも好調な売れ行きを背景にどんどん改良を重ね、我々が家の晩酌に飲む分には何の不満もないレベルまで味は改善した。

 

新ジャンルの値段が安いのは国の税法に沿ってなるべく税金を安く済ませる為の製造方を工夫に工夫を重ねた、いわば血と汗と涙の結晶だ。当然税収は減る。気に入らない国はビールと発泡酒の税率を下げ、代わりに新ジャンルの税率を上げるという暴挙に出た。ある国会議員はテレビでこう述べた。

「国民にはもっと美味しい酒を飲んでもらいたい。」・・・余計なお世話だ。

 

そんな横暴が2回、3回重ねられ現在ビールと新ジャンルの値段差は1.5倍位にまで狭まった。この結果国の目論見通り税収は増えたのだろうか、それは知らないが確実に言えるのはビールメーカーのやる気を削いでしまったこと。そりゃそうだ。せっかく安くて美味しいものを工夫しても大本の法律を変えられてはどうしようもない。

 

 

電気自動車に新たな課税検討。

https://www.itmedia.co.jp/news/spv/2211/18/news071.html

 

またまた新ジャンルと同じ過ちを冒そうとしている。いや、このときはビールと発泡酒の税率を下げただけマシか。本当に学習能力のない連中だ。

 

どうせならガソリン車とハイブリット車の税率を下げろよ。