県勢への影響を心配する

仁坂前知事がひとつ話しにしていたことに全国知事会でのエピソードがある。議長が最初に発する言葉が「和歌山、来てますか?」だという。どういうことかと言うと全国47都道府県の県庁所在地から東京に最短の交通機関を使って最も時間が掛かるのが和歌山。つまり和歌山が到着していれば他の県知事は全員揃っているということ。

 

この話は関空が出来てから和歌山はもっとも短時間で東京に行くことの出来る県のひとつになったというオチに繋がるのだが、関空の所在地は言うまでもなく大阪府泉佐野市、未だに県内の空港といえば南紀白浜空港ひとつというのが現状だ。

 

事程左様に全国の人から見れば和歌山といえば白浜、そしてその大きなバックボーンになっているのはどこよりも多くのパンダを飼育しているアドベンチャーワールドという事に異論を挟む人は少ないだろう。

 

現在、日本のパンダは全部で13頭。内訳は白浜に7頭、上野に5頭、神戸に1頭。その白浜のパンダの内3頭が来年中国に返還されるという。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20221215/2040013395.html

 

上野のパンダ返還の噂も仄聞されるので一時的かも知れないが白浜のパンダの頭数が上野を下回るという恐らくアドベンチャーワールド開園以来前代未聞のことが起ころうとしている。中国を除けば世界で1番たくさんのパンダを見られる施設、繁殖技術の高さで中国からも研修生が訪れる施設、そんな施設が白浜町にあることは県民の誇りであった。

 

少し前に国宝の数は以前は京都がずっと1位だったのにいつの間にか、それもかなりの差をつけて東京が1位になっているという話を書いた。1年に多くても数件の指定しかされない国宝で短期間にこんな変動があるのは何かの力が働いているに違いないと今でも確信しているがそんなに何でもかんでも東京を1位にしないと気が済まないのか。地方の活性化を言うのならいっそ上野のパンダをゼロにして、どうしても見たければ白浜へどうぞ、とした方が得策ではないか。

 

たかがパンダと言うなかれ、3頭も一気に減るということはスタッフにも余剰が出て、それらの方が上野にヘッドハンティングされて、次に中国からパンダの貸与があったとしても経験豊富なスタッフが揃っている上野へ、とならないとも限らない。私としてもこんな予言は当たって欲しくないが。

 

折しも岸本新知事が就任したがパンダ占い的には良くない時期でのスタートになってしまった。

 

数少ない自慢、誇りを泥棒するなよ。