衝撃の書

昔愛読していた週刊文春の川柳コーナーにこんな作品が掲載されていた。

「有名な和歌山県に住んでいる」

 

ちょうど毒物カレー事件があった頃で、確か知事か市長のスキャンダル辞任とかもあったように記憶する。他にも2、3あったと思うが思い出せない。どちらにせよ名誉な話でなかったことは確かだ。

 

それ以来全国ニュースからは鳴りを潜めていた和歌山県が久しぶりにやってくれました。

「夫婦喧嘩で自宅に放火。息子が焼死。」

何をやっているのか。

 

「犬が人を噛んでもニュースにならないが人が犬を噛んだらビッグニュース」。使い古された言い回しだが、子供が、それも13歳の娘が母親を刺殺とは穏やかな話ではない。もっともその前に親による子殺しが珍しいニュースでなくなった現状を憂えるべきか。

https://www.at-s.com/sp/news/article/shizuoka/1179428.html

 

他のニュースサイトでは14歳以下のため性別、学年は明らかにされていないと書いているが、この辺りの規制は実にいい加減だ。

 

昨年1番衝撃を受けた言葉として乳児の時に捨てられ、ずっと里親に育てられた今大学生になった男性が実親への思いを聞かれ「親には幸せになっていて欲しい。子供を捨てたけどやっぱり幸せになれなかったでは僕が許さない。」を挙げた。今年はまだ始まったばかりだが、同じくらい衝撃を受けた本に出会った。

「ただしさに殺されないために」

というタイトルの本でそこにネット上の匿名の書き込みとして次のような言葉が紹介されている。

 

「俺なんてゴミの回収の仕事をして年収たった200万円台」

「ゴミの回収は無かったら社会の全員が困るが、プロ棋士なんてなくてもだれも困らない」

「ただのお遊びがどうして自分のようなきつくで危険な仕事よりも稼いで、しかも世間からもてはやされるのだ」

 

将棋はただのお遊びではない、彼らも生命を掛けているという反論は当然あるだろう。しかしゴミ回収の仕事をする人がいなくなったら社会全体が大混乱になるが、プロ棋士全員が突然全員いなくなっても社会が回らなくなるということは起こらない。

 

こんな事例が分厚い本に数多く紹介され、著者の分析も非常に鋭利、的確で胸に刺さる。是非一読を勧めたい。