発言は問題だが

私の初めての海外経験は昭和57年(1982)の大学卒業旅行でヨーロッパに行ったことは前に述べた。全行程フリーのツアーなので添乗員はなかったが出発前に参加者全員を集めての説明会が開かれた。

 

殆どの話は覚えていないが、こんな発言があったことは何故か記憶に残っている。

「ヨーロッパの黒人はアメリカの黒人と違って紳士的なので心配は要りません。」

こんな話もあった。

「ヨーロッパではアメリカのような生命に危険が及ぶような犯罪に巻き込まれることは滅多にないがスリは結構いるので注意が必要です。」

 

どちらも(多分今でも)事実だろう。アメリカの黒人は紳士的でないというのは多分にイメージ先行の感もあるがハーレム等治安が悪いと言われる地区に黒人が多くいることは事実だ。ではこの2つの発言は現代の価値観で考えて問題だろうか。2つとも問題ない、いや後者はいいが前者は駄目だ、2つとも駄目だ。感じ方は人それぞれだと思う。

 

また旅行前に買ったガイド本にはこんなことが書かれていた。

「欧米の人は有色人種を一段下に見ている場合が多いので明らかに不当な扱いを受けたと感じたら堂々と抗議しよう。」

これも今でも事実であることに間違いないが、今売られているガイド本にもこんな文章が書かれているのだろうか。

 

首相秘書官問題発言で更迭。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230204/amp/k10013970711000.html

 

アメリカには治安の悪い地区がある、ヨーロッパにはスリが多い、欧米の人間は有色人種を下に見ている、何れも厳然たる事実で旅行する者には欠かすことの出来ない情報だ。だから今の価値観では疑問があっても伝えることは必要だし、そのこと自体を問題とは誰も言わない。

 

記事を読むと首相秘書官の発言も公ではないオフレコの場でのことらしい。オフレコは読んで字のごとし録音しない、記事にしないとの前提だ。

 

そりゃあ普通に販売される書籍や公の場で「欧米の白人は有色人種を差別している」などと言ったら問題だろう。でもこれからその地に出掛ける人限定で言う分には問題無い筈だ。同様にオフレコでの発言まで問題視されたら何も言えなくなる。想像するにこの秘書官もサービス精神旺盛の方なのだろう。私だって気のおけない友と飲んでいる時など「あーあ。偶には綺麗なおネエちゃんのいる店で飲みたいなあ。」なんて言うから。

 

実際、綺麗な女の人が居たら緊張して何も言えなくなるんだけどね。