オーバーツーリズムとは無縁

詳細は省くが20年ほど前、家で突然倒れ、気が付けば病院のベッドの上ということがあった。恐らくあのときが今までの人生で1番死に近付いた瞬間だっただろう。ただ意識を取り戻してからは特段熱も痛みもなく、ただ点滴だけの日々だったので苦しかったという記憶はない。コロナ発症3日目。間違いなく今までの人生で1番しんどく、辛い。ここ最近日本のあちこちで地震が多く発生しているが、もし、今地震が来たら瓦礫に埋もれてそのまま死んだ方が楽かも、なんて良くない想像が頭をよぎる。コロナ恐るべし。

 

 

熊本地震のあった2016年、熊本出身で朝日放送の夕方のニュース番組のキャスターを務めていた浦川アナウンサーは熊本市の繁華街の中継映像を見て「こんなに人通りの少ない○通りは見たことがありません。」と言って嘆いた。しかし、それは和歌山市随一の繁華街、ぶらくり丁通りの人手を遥かに上回っていた。いや、上回っていたなんてものてはない、ここ何十年もぶらくり丁では見たことのないくらいの人通りが震災翌日の熊本にはあった。選りにもよってぶらくり丁なんか出すなよと言われるかも知れない。では逆に聞きたい、貴方は和歌山市の繁華街と言って他に思い浮かぶ場所はあるのか?と。

 

平日はのんびりしている和歌山市http://news.wa-net.net/?p=22480

 

好意溢れる文春に恐縮する。でもね、人通りが少ないのは平日だけではないですよ。むしろ平日の方がビジネスマンや学生が町中に来ている分、人通りは多いのですけどね。

 

全国の県庁所在地の街で和歌山市ほど寂しい、廃れた町はないのではないか。5年前息子が高知のよさこい踊りに出るので彼の地を訪れた。高知は県の人口、市の人口ともに和歌山を下回る数少ない県のひとつだ。恐らく寂れた薄暗い町だろうという私の予想はものの見事に裏切られた。高層ビルが立ち並び、夕食に出掛けた繁華街の賑やかさは大阪の心斎橋筋を思わせた。よさこい踊りの見事さに関してはもはや表現の言葉を持たない。

 

それにしても全国の町の中で和歌山市だけが何故こんなカタストロフな街になってしまったのか。第1に挙げられるのは地元政治家の無知無能だろう。岸田首相に2度も応援に来てもらいながら落選した自民党の候補者が連呼していたのは「私たちが子供だった頃のあの活気に満ちた夢のある町、和歌山を取り戻したい!」だった。これを聞いて多くの有権者は思ったに違いない。あのね、貴方もずっと議員をやってきたのでしょう、今まで何をやってきたの?と。

 

コロナの禁が解けまた全国の観光地にはどっと外国人が押し寄せているらしい。嬉しいことには違いないが、従業員の確保が出来ない飲食店、観光客に席を奪われ市バスを利用できない市民、ゴミ、マナーの問題とオーバーツーリズムの弊害も語られている。その点わが和歌山市はその何れとも無縁だ。元々外国人観光客なんてコロナに関係なくゼロに近かったのだから何の影響も受ける筈がない。

 

落選議員の演説のように夢物語を語るのではなく、開き直ってこう叫びましょうよ。

「観光客なんか来なくて何が悪い!」