50年前。

発症4日目。昨日までより少しマシになったような、なっていないような。相変わらず体温は平熱~38度台と上がり下がりがあるし、咳もひどい。

 

あー早く、ドンキに行きたい、業務スーパーに行きたい、ツルハドラッグに行きたい。考えれば私がこれらの店に4日も連続で行かなかったことなどここ何年の間にあっただろうか。もし、この間に思わぬバーゲンが、お酒の安売りが行われていたらどうしよう。一生悔やんでも悔やみきれない。ってバーゲンがあったかどうかを知ることも無いのだから悔やむこともないか。あれっ、こんなことが考えられるなんて少しはコロナもマシになっているのか。

 

 

病床でこの動画ばかり繰り返し見ている。

https://youtu.be/B-a0j_eP5HQ

 

今から半世紀前、1972年のミュンヘンオリンピックでの塚原光男選手の鉄棒の演技。人類初の月面宙返りを目撃した観客の興奮、熱狂も凄まじいが塚原選手が観客に一礼した後、動画ではスローモーションが流れている際に更に大きな歓声が上がるのは館内に表示された9.90という得点が低過ぎるぞ!というブーイングの嵐らしい。

 

しかし、私が繰り返しこの動画を見ているのは月面宙返りを見る為だけではない。50年前の日本は、日本人は強かったんだなあ、そして強いだけではなく、好かれていたんだなあという万感の思いを胸に満たしてくれるからだ。演技終了後に拍手を送ってくれている観客の表情を見ればそのことはよく分かる。心の底から称賛してくれている。今大谷の2刀流や、WBCでの日本選手の活躍を矢鱈と持ち上げるがあんなもの所詮日本とアメリカの野球ファンの間のみで話題になったこと、大体野球なんて世界的に見ればオリンピックの正式種目にもなったりならなかったりのマイナー競技、第一回大会からずっと正式種目の体操とは比べるのもおこがましい。それに上智大学前嶋先生によればWBCのことを知っているアメリカ人はほとんどいなかったというではないか。いや、別に大谷を取り上げるのは構いませんよ、でももっと他の種目も、まして世界的には遥かに高く評価されているものもあるということをもっと公平に取り上げて下さい。お願いしますよ。

 

ちょうどこの頃、日本は西ドイツを抜いて世界第2位の経済大国になるのだがまだこの頃のドイツにも余裕があった。しかしそれから数年を経ずして日本の家電分野での猛攻撃が始まる。VHSビデオが、ウオークマンが高画質のテレビが世界を席巻、好調な自動車輸出と相まってあちこちで摩擦を起こし始める。(日本人にエコノミックアニマルという有難くないニックネームが付けられたのもこの頃だ。)それでも懲りない日本人は今度は次々と海外の企業や不動産を買収、私財でゴッホの絵を買った某富豪は自分が死んだら棺桶に入れて一緒に焼いて欲しいとまで言った。

 

そしてバブル崩壊。あれから30年以上経つが日本はパブル以前のレベルに戻れていない唯一の国になってしまった。今の子供は大人のマスクをした顔しか知らないから心配、とか言うが今の40歳以下は経済が成長するというのはどういうことか実感として知らないのだ。私はけして浪費家ではないが今振り返っても結構大胆な大きな買い物を何回も行ってきた。これも今日より明日は必ず良くなると信じられた時代を過ごすことが出来たからに違いない。肝心の実質賃金が下がり続けているというのに小手先だけの○手当や無償化だけで子供を産もうなんて気になるものか。

 

話が飛んでしまった。50年前頃の日本は良かったなあ。強かったし、好かれていた。更に言えば憧れられていた。そういう意味で月面宙返りに代表される新技、大技と日本の会社が続々と開発した画期的な商品の数々は重なるものがある。動画に挙げた男子体操なんかオリンピック、世界選手権で団体10連覇したくらい強かった。今こんなに強い競技が、或いは業種が日本にあるか。

 

元々日本人は奥ゆかしい筈なのにどこで道を踏み外してしまったのだろう。