コロナウイルスの感染者急増で軽症、無症状の方はホテルに入って頂くのが基本になった。従業員の感染の心配もあるし、依頼されたホテルもさぞや気が進まなかっただろうと思いきや、実際は我も我もと手を挙げて大変な競争率だったという。
何故か。旅行どころか移動そのものが規制されホテルはどこも空っぽ。客を選別出来るような余裕などないのである。
私はこの話を聞いて昔本で読んだ戦時中の話を思い出した。ある若者が爆撃か訓練か理由は知らぬが片腕を失った。すると周りの者いわく、「あいつ、上手いことやりやがったな!」。
何のことはない、片腕を欠損したので徴兵されることがなくなった。そのことを羨ましがっているのだ。本来であればお気の毒に、と同情、お見舞いされるべき出来事が恨みや妬みのネタになってしまう。戦争とはそこまで人の心を変えてしまう怖ろしい異常な事態なのだ。
今回、コロナ感染者用にと手を挙げたものの選に漏れたホテルは何を思っているのだろう。「あいつ、上手くやりやがって!」などと思っているのだろうか。
まるで戦時中と変わらないではないか。