人生は一曲の・・・

数多くある名言の中で私の好きな言葉ダントツNO1はゲーテの「人生は全て次のふたつから成り立っている。したいけれど出来ない。出来るけれどしたくない。」である。

 

例えば○が欲しくてたまらない、○さえ手に入ればもう何も望むものはない。○校に入りたい、○校にさえ入学出来れば死ぬ気で勉強する。○さんと結婚したい、○さんと結婚さえ出来れば一生○さんに尽くす。等々色んな場面で我々は願掛けをするが、いざその望みが叶うともうその状態が当たり前になり、あれだけ誓った猛勉強も配偶者への忠誠もすっかり忘れてしまう。人間というものは永遠に満足することが出来ない存在なのだ。

 

 

こんな奥深い心理(真理)をこんな簡潔な言葉で表現したゲーテという人は・・・。私にとってこの言葉以上の名言は想像出来ないし、敢えて言えばまともな人間には無理ではないかとさえ思う。

 

 

富山から黒部まで何回か電車やケーブルカーを乗り継ぎするが途中の駅で「日本海味噌」の立看板を見た。商品そのものはあまり当地では見かけることはないが日本海味噌と聞いて思い出すのは何と言ってもこのCM。https://youtube.com/watch?v=JG_eS7HcuD8&si=n1rCA-xNtX6iLu3j

 

私がこの曲を知ったのは大阪在勤時だから40年近く前。たまたま立ち寄った京阪守口市駅高架下にあったレンタルビデオ店で「浪花のモーツァルトキダ・タローのすべて」という2枚組CDのレンタルアップ品が980円で売られていたからだ。改めて定価を見ると4000円もするので中古品がなかったら恐らく買っておらず、この至高の名曲にも出逢っていなかった可能性が高い。人間どこに幸せが転がっているか本当に分からない。

 

芥川龍之介も多くの名言を残した。私が好きなのは「人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのは莫迦莫迦しい。重大に扱わなければ危険である。」

 

彼はこんな言葉も残した。「人生は一行のボオドレエルにも若かない。」

 

上に挙げたゲーテやマッチ箱と違い、今ひとつ意味が分かりにくいのが難点だが私の解釈ではこうなる。「人生は一曲の日本海味噌にも若かない。」

 

60余年生きてきて学業、仕事、家事、子育てとそれなりには努力してきたつもりだが、それら全てを足し合わせても「日本海味噌」一曲の偉業に遥かに及ばないのではないか。

 

こんな事を考えてしまうのも自身が人生の晩秋に差し掛かってきたことを無意識にでも感じてしまうような年齢になったからだろうか。