私作る人

暴れん坊将軍で名言を聞いた。釣り船船頭の老人が吉宗に言う。

「若いの、人間とこで年齢を取るか知ってるかい?身体じゃないんだよ、気持ちなんだよ。もうやり直しが出来ねえ、そう悟った時からがっくり来るのさ。そうなるともう、あれもこれも取り戻したくなってな。つまらないあがきだと分かっていても。」

名言だ。今の私に悲しい程に沁みる。

 

「私作る人、僕食べる人」のCMについて新聞紙上で活発な議論が為された。許せないという意見が多かったが、ある日同じ女性からこんな意見が寄せられた。

「料理を作らされていると感じるのは作ることに誇りを持っていないからではないか。私は毎日家族の料理を作っているが作らされているなどと感じたことはない。」

 

この意見の掲載後、議論は急速に収まった。少なくとも当時の女性はこの意見に返す言葉を持たなかったのだろう。

 

思い出した。松下電器の入社式、山下社長(当時)のお話にこんな内容があつた。

街を歩いていると黙々とレンガを積んでいる少年を見かけた。

「何をしているのですか?」

「ご覧の通りレンガを積んでいます。」少年はぶっきらぼうに答えた。

 

しばらくすると又レンガを積んでいる少年が居た。

「何をしているのですか?」

「私は大きな塀を作っています。」少年は目を輝かせながら答えた。

 

山下社長続けて、「このふたりの少年のやっていることは同じです。しかし心の持ちようひとつでこれだけ充実感が変わってくるのです。」言葉には出さなかったが諸君もしばらくはレンガ積みのような仕事が続くだろうが大きな塀を作っているという気持ちで取り組んで欲しいというメッセージだろう。

 

料理も同じこと。