羅生門

今日NHK黒澤明監督「羅生門」のデジタル完全版が放送されるとのこと。

 

私が「羅生門」を初めて見たのは中学生の時、新聞のテレビ欄に前から見たかった本作の名前を見つけた。が、時間帯は民放の深夜放送。

 

前にも書いたが録画なんて夢のまた夢という時代、レンタルや配信などは夢として思い浮かぶ対象ですらなかった。従って今日のテレビ放送を見逃せば次いつ見られるか保証は全くない。自ずと見る方の真剣さも違っていた。

 

とは言え「よく遊び、よく学べ(?)」の世代。夜は眠たくない筈がない。あまり面白くなければ早めに見切りをつけて寝ようと考えていた。ところが…

 

名作とは聞いていた。しかし、これ程とは。この作品を見た方はご存知のように謎解きの解が分からないまま終わるのだが、すっかり頭が興奮してしまい、眠たくなるどころかその夜はよく眠れなかった。

 

誰の言葉か忘れたが、優れた芸術作品を評するのに「この作品を知らないとは、人生にまだそんな喜びの待っている貴方を羨む。」という表現がある。まだ「羅生門」を見ていない貴方にこの言葉を贈りたい。

 

かく言う私だが、これまでに「羅生門」を何回見ただろう。上述のテレビ含め、5回も見ていないように思う。

 

一口に名作と言っても何回でも見たくなるものと、そう何回も見る気がしないものがあり、「羅生門」は典型的な後者だ。その差はどんなところに所以するのだろう。