山口百恵さん

和歌山県有田市出身の音楽プロデューサー、酒井政利さんが文化功労者に選出された。少し前、酒井さんの講演会(インタビュー)を聞く機会があったがこれだけの業績を挙げられた方なのに全く偉ぶったところのない温厚な老紳士という印象だった。

 

ご本人は辟易されているか知らないが、インタビューでも質問の最大部分が山口百恵さんに関することで占められていた。辟易と書いたのはいつも、どこに行っても同じことはかり聞かれて多少嫌に、と言うか「もっと他のことも聞いてくれよ。」などと考えておられるのではないかと個人的に想像したまで。

 

40年以上前になるが、ニーノ・ロータさんのコンサートに行った時も(今考えればこんな世界的作曲家のコンサートの1箇所によく和歌山が選ばれたものだと思う。今はそれだけの存在感は残念ながらどこを探しても、ない。)ロータさんの名曲はいっぱいあるのに「ゴッドファーザー愛のテーマ」ばかり何度もリクエストされて、さぞお嫌ではなかったかと感じた記憶がある。それとも案外開き直っているのだろうか。

 

と、言いながらここでも山口百恵さんをことを取り上げる。

 

私が中国に行ったのが1985年。今のような大国の片鱗は何処にもないのんびりした田舎国だった。印象に残っているうちの一つが多くの土産物店で山口百恵さんと三浦友和さんの共演した映画のポスターが貼り出されていたことだ。後にも書くが私はまったく両人に関心がなかったが、タイトルにやたらと「赤的XX」とあったのは今思えば「赤いXX」シリーズのポスターだったのだろう。

 

「中国でも人気なんや。スゴイな。」この何年か前に百恵さんは引退していた筈だが下手な現役芸能人より存在感があったのだろう、「何で引退わざわざ引退した者のポスターを貼っているのだろう。」という違和感は感じなかったように記憶している。

 

「懐かしの紅白歌合戦」という番組でたまたま見たのだが百恵さんの登場時、司会の佐良直美さんが「百恵の前に百恵なく、百恵の後に百恵なし。」という最大限の賛辞を使って紹介していた。

 

花の中3トリオの中では森昌子さんは何と言っても歌が抜群に上手い。あの美空ひばりさんが「私、あんまり人のこと褒めるの好きじゃないんだけど、あなた本当にお上手ね。」と言っていたくらいだ。桜田淳子さんは秋田美人アイドルの走りとも言われた程、抜群に可愛いく、華があった。この二人に比べると地味で暗い印象しかなかった百恵さんを芸能界トップに押し上げたのが他ならぬ酒井政利さんだ。

 

百恵さんに関しても桜田淳子さん同様、レコードもグラビア、ポスターの類も一切買わなかったし、持っていない。桜田淳子さんは衝撃の合同結婚式で芸能界から遠ざかったが、百恵さんは三浦友和さんとの結婚後、約束通り一切復帰する気配すらなかった。その事は実に立派だと思う。