仁鶴さん

https://news.yahoo.co.jp/articles/dc34e1d025eb6fd52768f4ba3eab4ea54ec28d63

 

本当は千葉真一さんの訃報に付いて書くつもりだったが、私にとってはメガトン級の訃報が飛び込んで来た。ジャイアント馬場さんの訃報に接した時以来の大シヨツクだ。40年以上、いや、50年近くテレビでの演芸、お笑いを見てきたが仁鶴さんは恐らくはその最高の人。MC、司会、ラジオ勿論本業の落語。何をやっても抜群に面白かった。仁鶴さんが高座に上がり「えー」と言うだけで客が笑うのである。止まらない客席の笑いに仁鶴さんが返す。「こっちから見てる方がおもろいで。」再度大爆笑。

 

こんな事があった。タイトルは忘れたが仁鶴さんが毎週有名人と対談する番組。最初は仁鶴さんがゲストの簡単な紹介を話すのだが(この時点ではまだゲストは映っていない)、横から大きな女性の笑い声が聞こえる。この回のゲストは何とソフィア・ローレンだった。「貴方の顔と話し方を見ているだけで可笑しかった」と、話していたが、あの可笑しみ、天性の人を笑わせる才能は言語や人種の壁を越えていたのだろう。それにしても彼女ほどの世界的な大女優が何故関西の1ローカル番組に出たのか、今でも不思議。

 

売れっ子ぶりも凄まじかった。お笑いに限らず多くの芸能人を見てきたが「この人たち本当に寝れているのだろうか?」と心配になったのは仁鶴さんとピンク・レディーだけだ。何の根拠も無いけど。

 

そんな呼び方があったか確かではないが当時の吉本興業には仁鶴さんはじめ三枝(文枝)さん、やすしきよしさんの三羽ガラスが会社を引っ張っているイメージがあったが、その中で三枝さんとやすきよさんは互いにライバル心を持っているのが子供心にも分かり、素直に笑いに浸れない感があった。しかしそのふたりも共演者が仁鶴さんだと終始1歩も2歩も引いた態度で嬉々として引き立て役に回っているように見えた。別格だったのだ。

 

仁鶴さんがお笑いの世界に残した足跡は永遠だ。仁鶴さんが居なければその後のお笑いの世界地図がだいぶん変わっただろう。間違いなくそのことは言える。