反中央を貫く

これは友人からの受け売りだが、世の中に巨人ファンが多いのは昔は今のように球団が地方になくテレビ中継も巨人しかなかった。だから巨人ファンになる他なかったという。

 

なるほどと思う反面、私のようなひねくれた人間は余りに毎日同じものを見させられると却って嫌いになってしまう。例えば大谷選手。これだけ毎日民放、NHK問わず見させられると「他にも大リーグに日本人がいるのになんで彼ばかり!」と腹が立ってしまう。将棋の藤井聡太九段も同じで、何故彼ばかり集中的に取り上げるのか。彼が昼飯に何を食べようと構わんではないか。

 

もっとも私のような考えをずる者はごく僅かなのだろう。それは関西芸人の取り扱い(過小評価)を見ていても分かる。

 

笑福亭仁鶴さんが亡くなった時、私の見た中ではお笑い界の最高の人、彼がいなかったらその後のお笑いの世界も大きく変わっていただろうと書いたが、その後の取り上げ方には多いに不満がある。そんな中、高田文夫氏が非常に真っ当な見解を述べられているので是非ご一覧願いたい。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/08/23/kiji/20210823s00041000420000c.html?amp=1

高田さんの言うように仁鶴さんがいなければ三枝さんも出ていない、やすしきよしさんもとなればその後の漫才ブームもなかっただろうから、そうなると島田紳助さんがいない、つまりM1グランプリもなかっただろうし、北野武さんは浅草のローカルタレントで終わっていたかも知れない。やはり見ている人は見ているのだ。

 

男性芸人の最高の人が仁鶴さんとすれば女性芸人の最高の人は疑う余地なく上沼恵美子さんだ。いや、女性芸人という呼び方は失礼かも知れない。これは私見だが上沼さんは少なくともお笑いの世界では男、女という垣根を超えた唯一の人。日頃LGBTなど糞食らえと思っている私でも全盛期の美輪明宏さんを見たら道を踏み外すかも知れないのと同じ理屈だ。何せあのオール巨人さんが上沼さんが年下であるにも関わらず「憧れの人だった」と言っているくらいだから。

 

その上沼恵美子さんが今までの出来事や思いを語っている。

https://bunshun.jp/articles/-/52878

 

上沼さんと同じく、西の帝王と呼ばれたやしきたかじんさんは東京のテレビでは言いたいことが言えないと自身の番組の放送すら許可しなかったと言うのは有名な話だが、上沼さんは逆に何回も東京に進出したいと思ったと言っている。上沼さんなら間違いなく全国放送でもナンバーワンの番組になっただろうし、関東芸人を手玉に取るシーンも見たかつた気がするが、やはり東京では100%エンジン全開という訳には行かなかったのではないか。逆に言えば我々関西人は上沼さんの真髄に触れることが出来たことを感謝しなければなるまい。

 

往年の大指揮者、ハンス・クナッパーツブッシュはあくまで本拠をミュンヘンに定め

ウィーンやベルリンから熱烈なラブコールがあっても「聞きたければそちらから来い。」と一蹴したという。上沼さんがこんな小文読むこともあるまいが、そんな風に思って頂ければ幸いだ。

 

やしきたかじんさんについては又の機会に触れたい。