上沼恵美子さんはやはり偉大だ

北京オリンピックでの羽生結弦選手の4回転半は回転不足という判定に終わったが、何年か前のテレビ番組で過去の選手で4回転半を跳べた人が居たとすれば誰かという話題が出た時、ある元オリンピック選手が「伊藤みどりさんが今のシューズ、今の氷なら跳べたと思う。」と答えていたのが印象的だった。そう、その人は男子選手ではなく、伊藤みどりさんの名を挙げた。つまり伊藤みどりさんは男女の枠を超えた圧倒的な存在だったのだ。

 

同じことがお笑いの世界の上沼恵美子さんにも言える。勿論、見てきた中で、という制限は付くが少なくとも私は上沼さん以上の芸人を他に知らない。本人も言っているように、上沼さん自身は東京進出にも意欲的だったらしいが夫がそれを許さなかった。もし、そんな制約など付けられることなく、全国区で活躍する場を与えられていたら今のお笑いの勢力図も随分変わったものになっていたに違いない。

 

全国ネットのテレビはNHKをはじめどうしても東京の芸人中心になりがちだ。歌丸さんや小三治さんの功績が小さかったと謂うつもりはない、だが落語界初の文化勲章受章者の米朝さんや、この人が居なかったら恐らく漫才ブームもM1もなかったのではと思われる仁鶴さんの扱いの何と小さかったことか。他の芸人、後世に与えた影響は月とスッポンほどの差があるのに・・・。

 

今、一番過大に扱われている芸人といえば間違いなくビートたけしさんだろう。私も何年か前までは彼のファンだった。でも最近は全く駄目だ。むしろ嫌いと言ってよい。例えば彼は何故お笑いコンクールの審査員をやらないのかと問われおいらの時代の漫才より今の漫才の方が面白いからそんな資格はない、と如何にも謙虚に聞こえるような答えをしている。それなら「たけしが認めた〜」のような番組に出るなよ。

 

それにおいらの時代の漫才よりって、他者を巻き込むな。それを言う資格があるのはトップランナー(当時ならやすしきよし)だけだろう。それにツービートの漫才そのものも当時でもそれ程でもなかったぞ。何もこれは私だけの意見ではない。コロンビアトップさんも漫才ブーム当時に「話しの出来ている」コンビとして挙げていたのは「西はオール阪神・巨人、東は星セント・ルイス」だった。

 

上沼恵美子さん、解散する和牛に愛のメッセージ。

https://mainichi.jp/articles/20231217/spp/000/006/063000c

 

本当に真心のこもった言葉だ。付け足すことは何も無い。私はM1は見ていないので詳しいことは分からないが、「あんたら年々おもろなくなってるな。」くらいのことは言ったのだろう。お笑いに、芸人に真の愛があるからこそ言える言葉だ。「あんたらの方がおもろいから何も言う資格はない。」だったら誰だって言える。

 

淡路島は国生みの島とも呼ばれる。上沼恵美子さんと阿久悠さんを生んだのだからそれも頷ける。