また、やってしまった。

一人暮らしで自炊していた頃のメニューで一番よく作ったのは、鍋料理である。

と言っても、本格的なものでは勿論なく(今スーパーで普通に見られる鍋スープはまだ売っていなかった)、白菜、うどん、豚肉を水で煮てポン酢で食べるという極めて簡単なもの。たまに他の野菜や豆腐を入れることもあった。この鍋のことを別名、常夜鍋とはよく言ったもので2日に一回ほどのペースで食べても全然飽きることはなかった。

 

使うのはもっぱらフライパン、何より便利なのは鍋料理の合間に作る油を使った料理(焼肉や目玉焼きなど)の汚れを落としてくれることだった。そう、フライパンは基本洗うことはしなかった。

 

このフライパンの汚れを他の料理で落とすという習慣は結婚後も続けており、妻も心得たもので洗わないで置いてくれている。但し今は鍋料理ではなく、麺類が多い。

 

一応、工夫はしており焼肉や生姜炒めのようにフライパンにまだ味付け、タレが残っている場合は焼きそばや焼きうどんをすれば味付けの手間も省けて一石二鳥だ。

 

またフライパンではないがカレーやシチューをした後の深鍋も麺類料理に格好だ。ご存じのようにカレーやシチューの鍋汚れ(こびりつき)はかなり手強く、普通に洗ってもきれいに落とすのはなかなか大変だ。

 

ところがこの汚れも麺料理を作ることで驚くほど簡単に、きれいに落ちる。コツは麺や具材を煮ている間、蓋をしておくことだ。鍋の内にたまった蒸気(湯気)がものの見事にこびりつきを根こそぎ剥がしてくれる。まだやったことのない方は是非一度試してほしい。人生で滅多に味わえないほどの感動が待っていること、請け合いだ。妻も口にはしないが感謝しているに違いない。

 

ただ、気を付けなければならないのは前の料理に合ったものを作ることだ。大したものでカレーはどんな麺料理を作っても非常によく合う。うどん、そばはもちろん、インスタントラーメンもばっちりだ。

 

今日は前の料理がハヤシライスだった。スパゲティならぴったり合っただろう。しかし、こびりつきを取りたいのに更に炒めものをするのは逆効果。どうしても煮込み麺でなければならない。

 

思い切って、ラーメンを作った。汚れは落ちた。味は・・・。

何故、たまには鍋を洗うという選択をする男気を持てなかったのか。しかもこの失敗、初めてではないし、次ハヤシライスを作った時も同じ失敗をやりそうな気がする。しかも今回は使ったラーメンがラ王という高級品だったのでショックは2重に大きい。

 

次にハヤシライスを作るときまでに安価なラーメンを買っておこう。