今際(いまわ)の時

小泉八雲の怪談にこんな話があった。

タイトルや詳細な内容は覚えていないが、概ねこのような粗筋。

 

舞台は処形場。今にも首を撥ねられようとしている罪人が叫んでいる。「俺はやっていない。もし、このまま死刑になったら絶対幽霊になって化けて出てやる!」それに対し奉行、平然と「幽霊などおらん。もしおると言うのなら首を撥ねられた後、そこの庭石に齧り付いて見せろ。」、「よし、分かった。絶対に齧り付いてやる!」

 

白刃一閃、首が転がった。するとその今撥ねられたばかりの首が2回、3回と転がり、ぽんと跳ね上がったかと思うと何と庭石に齧り付いた!

 

これは絶対祟りが起こるに違いないと皆騒然となる中、奉行だけが平然としている。理由を聞くと「俺はあの男に庭石に齧り付くことを命じ、彼はその事だけを念じながら死んでいった。だから他の事など覚えていない。」

 

それで実際何も起こらなかった。というのがオチ。人間心理として実に興味深い。

 

和歌山市のひき逃げ事故で自転車の男性死亡。

https://news.yahoo.co.jp/articles/37187aa9127dc8013e2a8696fedc599b06378541

 

被害者も加害者も私に近い歳。一番心の痛むケースだ。早朝のまだ暗い時間帯、気付かなかったというトレーラー運転手の言葉も嘘ではあるまい。

 

自転車に乗っていた人はちゃんと信号を守っていたらしい。この人は今際の時に何を思っただろう。

 

一方、私も日頃の移動手段は専ら自転車。こちらは信号を守らない事も多い不良運転者だ。

 

もし、私が信号無視をしている時に事故に遭ったら何を思うだろう。私の事だ「しまった!過失割合が不利になる!」などと思いながら今際の時を迎えるのだろうか。

 

あー嫌だ。明日から信号は厳守しよう。

やはりかなり大きな地震だった

この度風呂をリフォームすることになり、昨夜業者さんと契約を交わした。

 

今住んでいる、そして我々にとっても恐らく終の棲家となるであろう家は親が凡そ45年程前に建てた家で場所と広さは文句なしだが、時代も変わり住宅へのニーズも変わる中、流石に古さが目立つよつになり、今回のリフォームと相成った。木造とかプレハブならいっそ建て直すのだが鉄筋コンクリート造りときてはそう簡単には運ばない。

 

前置きが長くなった。妻が湯呑みを出す為に作り付けの食器棚(パナホーム製)を開けようとするが、うんともすんとも言わないとのこと。来ていた客が住宅業者さんで良かった。扉を軽く2、3回叩けば開きますよと教えてらい、実際事なきを得た。聞けば一昨日の地震でオートロックされたのでしょうとのこと。

 

この食器棚を付けて15年になるが、そんな機能のあることを知らなかったし、ロック自体掛かったことがない。

 

「震度4なら今までも何回か経験している筈なのに今回なんでロックが掛かったのでしようねえ。」と聞くと、「昨日の地震は震度4なんてものではなかったでしょう。」との返事が返ってきた。

 

私は今までに経験した一番大きな地震滋賀県に住んでいた時に発生した阪神大震災だと思ってきた。その時も震度は4だった。和歌山も同じだったと思う。

 

暴れん坊将軍徳川吉宗ゆかりの刺田比古神社の石燈篭が今回の地震で転倒し、宮司さんも「阪神大震災でも大丈夫だったのに。」と驚いていた。

 

滋賀と和歌山、住んでいる場所が異なるので一概に比べられないがひょっとすると今回の地震の方が強かったのかも知れない。今年米寿の母親が今回の地震はそれ程恐怖に感じなかったとのこと。私も恐怖に対する感度が鈍って来ているのかも知れない。

選挙は恐ろしい

今日20時までで地震は14回あったらしい。これだけ揺れが続くと、頭が酔っ払ったような状態になり、揺れていなくても揺れているかのような錯覚を覚える。

 

亡くなった元副町長は、近々の町長選挙に立候補していたらしい。死因は明らかにされていないが、選挙絡みの殺人事件かも知れない。

 

結婚間もない頃、週末の夜滋賀から奈良経由で妻の実家に帰ったことが何回かあった。妻の実家は外灯も店舗もない、どの字の付く田舎。クルマのヘッドライトのみを頼りに走っていると突如浮かび上がった人の影!道に出ていた訳ではないので、轢いてしまうという怖れはなかったが動物かまたは幽霊かと肝を冷やしたことは間違いない。

 

それにしても暗闇の中、道の片隅に何用あって座っているのか?妻に聞くとあっさり疑問は氷解した。

 

丁度選挙期間中で、夜中に金品を持って頼みに行く等の違反行為がないかお互いに監視しているとのこと。妻が即答した位だからこの辺りではごく当然のように行われていたのだろう。

 

選挙というものの恐ろしさ、監視社会の気味悪さを痛感した出来事だった。

地震発生、スーパーの思い出

震度4を筆頭に今日だけで10回以上地震が発生した。

 

私が子供の頃「和歌山は中〜小の地震が多いのでその分エネルギーが分散されて大きな地震は起こりにくい。」と言われてきた。後にそんなことは迷信に近いという見解が出たが、その後も地震予測の精度はさっぱり上がっていない(先日の東北地震を誰が予測した?)ので、一概に迷信と決めつけるのも誤りだと思う。

 

私は買い物が好きで会社員の頃からよくスーパーに行っており、それは今でも続いている。最近は男の人もよく見かけるが女性、特におばちゃん世代の中には眉をひそめたくなるようなマナー違反の人がおり、常々苦々しく思っている。

 

①ビニル袋を大量に持ち帰る人。親の仇のように何十枚も持ち帰る人。レジ袋有料化以降特に目に付く。

 

②カートを元の位置に戻さない人。自分が車を停めた場所に置いたまま。他の車に当たって傷を付けるかも、とか思わないのだろうか。

 

③身障者用の駐車場に停める人。もってのほか。許されるなら銃殺したい。せめてタイヤの空気を抜いてやりたい。

 

勿論、嫌な思い出ばかりではない。20年ほど前になるが滋賀県のスーパーで擦れ違った女子高生3人組、何メートルも歩かない内に、こうおっしゃった。

「ねえねえ、いまの人ミスタービーンに似てなかった?」

「似てた似てた!私もそう思った!」

 

箸が転んでもおかしいお年頃とは言え、もう少し小さな声で話せないかと思ったが、家に帰りうちの女性陣に話すと「良かったやん。ミスタービーンって男前やで。」

 

単純な私はこの事を人生における名誉の1ページに加えたことは言うまでもない。

 

 

 

 

ダイレクトドライブレコードプレイヤー

水戸黄門で黄門さまのお陰でいがみ合っていた家族、あるいは家同士が仲直りする、というパターンがある。親に反対されていた結婚を許された夫婦に掛けるお決まりの言葉が「一日も早く可愛いややこ(赤ちゃん)を見せてくださいよ。」もう何回も聞いた。

 

この言葉、今のドラマで使えるだろうか。おそらく使えない。政治家が結婚式の祝辞で「最低二人子供を作ってください。」と言ったことが問題視されるご時世だ。

 

ごく一部だが今回の森会長の問題に関し、マスコミがいじめ過ぎという意見がある。森会長がどれだけ「余人をもって代えがたい」人物か知らないが、私も森会長に失言の前科がなく、逆切れなどすることなく記者会見を無難に答えていれば辞任するまでのことにはならなかったと思う。「女性のいる会議は時間がかかる」は一発アウトになるほどの問題発言とは思わないが、これだけ大々的に報じられたのも、現今の時代背景があるのだろう。

 

 

前のブログで聞きに行ったオーケストラの腕前を「弱音部のアンサンブルを除けば一流」と書いた。楽器ひとつ弾いた事のない私が言うのも僭越だが、何故か一生懸命弾いている部分の方が良く合っている。

 

不思議なようだがこのことはマラソンを先導する白バイの運転を想像すれば、数十キロの定速で走るより、人の速さに合わせて走る方がずっと難しい。それと同じことではないだろうか。

 

私は就職先を選ぶに当たり、趣味だったオーディオメーカー、中でも松下電器を第1希望にした、その大きな要因のひとつがダイレクトドライブレコードプレイヤーを世界な先駆けて発売したことへの憧憬があった。それまでのプレイヤーは高回転するモーターをベルトでターンテーブルに繋ぐ方式が主流だったが松下電器(テクニクス)はゆっくり、しかも安定して回転するモーターを発明、世界初のDDプレイヤーを世に出した。

 

私は理系ではないので、想像するしかないが1分間に100回転するモーターを作るより1分間に3回転しかしないモーターを作る方がずっと難しいのではなかろうか。

 

強音部より弱音部の方がアンサンブルを保ちにくいのも、これと同じ理屈ではないかと思う。

充実の日

少し、遅れたが森会長は結局辞任した。予想は外れた。テレビを見ていると最初は「この問題は解決済」としていたIOCが態度を一変させたことが決定打となったとのこと。そのIOCの態度を変えさせたのがアメリカのテレビ局だと言うから結局は金の力に負けてしまった訳だ。やはり、一番強いのはスポンサー。

 

2月13日は大学時代の友人との飲み会。卒業時にヨーロッパ旅行した仲間だ。

 

卒業後は就職も住む場所も違った為、特に会う機会はなかったが、いつの間にか年2回夏と冬に飲み会をすることが恒例になっている。もう、7-8年目位になるだろうか。お互い仕事も人生もとっくに先が見えてきた(ダイナミックな出来事が期待出来ない)年齢。特に話すテーマもない筈だが認知機能の低下で前に話したことを忘れていること、更には健康のことや年金のことなど新しい話題が追加され、話すテーマに困ることはない。それにしてもこの仲間に限らないが健康のことが話題になると、病気をたくさんした者の方が態度がでかくなるのは面白い現象だ。

 

今回も時節柄早目に終わろうと決めていたのだが、気が付けばあっという間の3時間であった。

 

それと今回改めて分かったのだがコロナで飲食店ばかりが悪者扱いされて気の毒に思っていたが、確かに飲み食いすれば人の話す声は大きくなる。勿論マスクはしていない。やはり感染しやすい場所ではあるだろう。誰もコロナになっていないことを祈るばかり。

 

13日の予定は元々この飲み会のみだったが、遡る数日前M君から連絡があり、同日の大阪フェスティバルホールのコンサートに行かないかとのこと。

 

何でも弟と行くつもりでチケットを2枚買っていたのだが、緊急事態宣言の再発令で弟が立場上(大学教授)、万一にも感染したらまずいので、と言ってきたらしい。プログラムはモーツァルトのビアノ協奏曲24番とブルックナー交響曲9番。どちらも私の大好きな曲目だ。

 

夜のコンサートなら当然行けないが聞けば開始は午後3時。往復とも自動車で送迎してくれるとのことなので飲み会の開始を1時間遅らせてもらい、行くことにした。

 

いやー、行った甲斐があった。フェスティバルホールに行ったのは初めてだったが、こんな立派なホールが37階建てビルディングの一部であることに2度びっくり。時間があったので最上階の展望を楽しもうと上ったが飲食店を利用しないとエレベーターホールから出られないのもご愛嬌。

 

演奏について書くのは得意ではないが、オーケストラの腕前が格段に向上していることには驚かされた。弱音部でのアンサンブルに僅かの乱れが散見せされるものの、一生懸命弾いている箇所を聞く限り、海外の一流オーケストラに劣らない。ブルックナー交響曲の場合、管楽器の咆哮が大きな聞き物なのでここで派手に音を外されるといっぺんに興醒め。今までの日本のオーケストラにはよくあったことだが今回は安心して聞いていられた。

 

コンサートを堪能し、飲み会開始の30分前に帰り着いた。誠に充実の1日であった。

久し振りの…

前にも書いたが松下入社後すぐに担当した仕事は全国の販売会社(卸)からの注文を工場に繋ぐ仕事だった。当然色々な地方の方と話しする機会を持ったが、一番人柄がいい県だと感じたのが福島県熊本県だった。

 

そんな福島県を又も大地震が襲った。今回は津波がなく、亡くなった方が居ないのがまだしも救いだが先年の熊本地震と言い、神様も随分と残酷な仕打ちをしてなさるものだ。

 

生中、メガレモンチューハイ、日本酒大徳利、メガ角ハイボール、メガ柚子チューハイ。昨夜、大学時代の友人2人との飲み会で飲んだアルコール。3人ではない。私一人で、飲んだ分である。

 

何故、ハッキリ覚えているか。レシートがあるのである。会計合計¥12980。事前にGo To Eatクーポン¥4000で¥5000分を買っていたから1人丁度¥4000の支払い。我ながら完璧な幹事振りだ。誰も褒めてくれないので自分で書いておく。

 

半年振りの再開で話も盛り上がりピッチも進んだのだろうが、この歳でこれだけ飲めばさすがに少し応えた。もっとも症状としては朝、少し胃がムカついた位。胃腸内服液を飲んだら収まった。しかし、大事を取って今日は久し振りにノーアルコールデーにしよう。

 

昨日はここ最近にない、充実の1日であった。次に続く。