三つ子の魂百まで

元旦の夜に見る夢を初夢というらしいが残念ながら覚えていない。ただ月に1回もないことだが愛猫が布団の上に乗ってくれて一緒に一夜を過ごせのはこの上ない新年の迎え方だった。


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どこの会社もそうだったと思うが私の入った時代の松下電器も平均年齢が若く、今は掃いて捨てる程いる(失礼!)管理職もごく少なく部長ともなれば個室と秘書を与えられていた。

 

新入社員の私の仕事のひとつは毎日2回、12時と17時に締めた販売速報を部長室前の箱に入れておくことだった。

 

ある日のこと、12時に入れておいた速報をいつまで経っても部長が手に取っていない。何度も部屋から出たり入ったりしているので目に止まっていない筈がない。何か不手際でも?

 

その時、ある先輩がそっと教えてくれた。「お前、裏紙使ったか?」

 

あっ、そうだ。慌てて裏紙に速報を印刷し直し、入れ替えた。すると知らぬ間に部長は部屋に持ち込んでいた。

 

今どうしているかは知らないが、その頃の松下電器ではコピーや印刷に裏紙を使うのは常識、封筒も同様で使い古した封筒に紙を貼ってヨレヨレになるまで社内メールに用いていた。

 

部長は裏紙を使っていない速報レポートの存在を無視することで無言で教えてくれていたのだ。

 

社会人入門時のこの体験がよほど強烈だったのだろう。私は私生活でも封筒や裏白の紙を捨てられない人間になっていた。

 

今回、部屋の大掃除をしていて大量に出て来たのがこの種の紙や封筒だ。どうしよう。ばさっと全部捨てるのは簡単だが。

 

結果、よほど汚損しているものを除き残すことにした。また使うことはあるだろうか?一生の内に使い切ることはあるだろうか?