上の空

格上のドイツに勝ったりするものだからNHK含めテレビはサッカー一色。本当ならええ加減にせんかい!とテレビに石でもぶつけそうになるところ、幸いなことに私は昨日聞いた話ですっかり上の空状態。

 

松下幸之助相談役とアポ無しで会えるって誰だろう?市長に面会に来るくらいだから和歌山の方だろう。どんな知り合いだろう?幼馴染み?まさか。1番考えられるのは和歌山のナショナル販売店の総大将とかだが。

 

それにしても何故その方が新入社員の私如きを知ってくれていたのだろう。直接知る筈はないから松下電器の誰かに聞いたのだろうか。もしかして相談役?まさか。

 

それは考え過ぎだろうが会社のかなりトップクラスの人間から聞いたことは間違いはない。となると私にも覚えがない訳ではない。

 

ひとつは前にも書いたが面接試験でかなりの高得点をもらってかも知れないこと。何を隠そう、私は人との会話や、やり取りで人に好かれ、評価されることには天性とも言える才能があったのだ。何故か同世代の女性とだけはからっきし駄目だったが。

 

もうひとつ。あれは確か新入社員研修中のこと。全員に松下電器をテーマに論文の課題が出された。内容は自由だったと思う。

 

私は「松下電器高野山」というタイトルで一文を認めた。細かい内容はさておくが高野山比叡山を例に挙げ最澄が開いた比叡山最澄没後も次々と名僧、高僧を輩出し日本仏教の母山とまで言われるようになった。それに対し高野山空海亡き後内紛や権力争いが絶えず、遂には全山が廃寺直前になるくらい荒廃する一時期があった。これは開祖が空海というあまりのカリスマだったので誰が後継者になっても不平不満が出てひとつにまとまることが出来なかったからと言われている。そういう意味では松下電器も創業者があまりに偉大という共通点があるので将来同様の危機が訪れるのではないか。概ねこのようなことを書いたと記憶する。

 

見てお分かりのように会社礼賛の文章ではけしてない。それどころか新入社員のくせに会社の将来訪れるかも知れない危機に警鐘を鳴らしている。普通に読めば何を生意気なとなるところ。今だったらどうなっていたか分からない。処が幸いなことに当時の松下電器はそんなヤワな会社ではなかった。

 

少し前に触れたが山下俊彦氏も取締役会の末席から堂々と相談役に苦言を呈したことで相談役の目に止まり、後継社長に選ばれるきっかけになったというのは有名な話だ。

 

私の論文が実際にどんな評価を受けていたのかは勿論知らない。しかし、当時の松下電器はこんな異端児の意見も受け入れる懐の深い会社だった。それは間違いない。