信じて頼らぬ

子供の頃読んだ「巨人の星」にこんなシーンがあった。前後の経緯は覚えていない。

 

マウンド上で拳を握りしめ天を仰ぐ飛雄馬。それを見て敵チームの選手が言う。

「星の野郎、怖気付いて神様に助けてくれとお祈りしてやがるぜ。」

それを聞いた飛雄馬の旧友、伴大吾が

「いや。飛雄馬は神を信じて頼らぬ男。」

 

今聞いても名セリフだ。本当に梶原一騎は天才だと思う。今何かと宗教の問題が世間を騒がせているが人間と宗教の関わりも正に上のセリフのような状態が一番望ましい。

 

お坊さんの、あるいは神父さんの言葉を人生の糧するのは良いことだ。もっと知りたくなれば書物を読むのも良いだろう。でもけして頼ってはいけない。頼ることは自分を無くす第一歩だ。

 

統一教会に代わって今度はエホバの証人がマスコミの次の標的になっている。エホバの証人といえば昔、親が輸血を拒否して子供を死なせてしまった出来事が記憶に新しいがそれに関連して思い出すのは何年か前に大相撲の地方巡業中に起こった「女性は土俵から降りてください」事件だ。詳細を説明しようと思ったら何とウィキペディアにも載っている。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AF%E5%9C%9F%E4%BF%B5%E3%81%8B%E3%82%89%E9%99%8D%E3%82%8A%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84

 

エホバの証人に言わせれば相撲なんかと一緒にするなだろうが、土俵に女性が上がるなという歴史は相撲の方がはるかに古い。相撲協会からすれば我々こそ本家とでも思っているだろうか。

 

何れにせよ生きるか死ぬかの危機が目の前に迫っていて、それを救ってくれる手立てがあるのにそれを拒否する神経、そんな考えに感化してしまう教え、ルールは全く理解出来ない。まあ私には関係ないからいいんだけど。

 

そう言えば昔我が家にも宗教の勧誘が来たことがあった。何の宗教か忘れたが。それ以前にも何回か来ていたが暇だったし、女性3人組なので間違っても脅迫されることはないだろうと家に招き入れた。

 

どんな話だったかあらかた忘れたが、全知全能の神とやらが居て、その宗教ではその神を信仰しているらしいのだがある日弟子に裏切られて・・・と続けるので、私は質問した。

 

「全知全能なのにこいつは自分を裏切るかも知れないということを予見出来なかったのか?それで全知全能と言えるのか?」

3人の誰かが

「いや、裏切るなどということは神の世界では存在しなかったので。」

少しうろたえた模様。そこで畳み掛けた。

「まあ昔はそれで良かったかも知れないけど今はそんなお人好しでは世の中を乗り切れませんよ。悪いけどあまりあてにならない神様としか言いようがないね。」

 

明らかに3人は気分を害して帰って行った。その後本部に帰って私の指摘に対する回答を持って再訪してくれるのではないかと秘かに期待していたが2度と私の家のチャイムが鳴ることはなかった。

 

最初から入信するつもりなどないのにからかってすまん。もしその時の3人に会う機会があればそう伝えたい。私の質問で脱会してくれていれば尚嬉しいが。