大阪考

私の息子は現在高知に住んでいる。行って初めて知ったのだが、かの地ではテレビの民放は3局しか映らない。従ってTBSの番組とフジテレビの番組が同じチャンネルで放送される、なんてことが実際起こっている。長女の夫は現在福井に単身赴任中だが同様だ。昨年は大ヒットした「倍返し」のドラマの放送がなかったそうだ。

 

従って長女は毎週夫の帰りを待って録画したものを一週遅れで見ていたらしい。昔と違って情報過多の時代、次の展開を知らずにいることはなかなか難しかっただろう。

 

翻って当地、和歌山では私が物心がつく50年以上前から大手民放4局が見られるのは当たり前だった。

(*)毎日放送(TBS)、朝日放送テレビ朝日)、関西テレビ(フジテレビ)、読売テレビ日本テレビ)。テレビ和歌山(テレビ東京系)は少し遅れたがそれでも40年以上前に開局している。

 

私が子供の頃はそこそこ地方の大都市(広島や福岡)に行っても民放がフルに見られることは少なく、子供心にも「何や、意外と田舎やなあ。」などと勝手に思い上がっていた。

 

その時は気付いていなかったが、これ、全て大阪のお陰である。たまたま大阪の隣に所在していたので電波が届いていたのである。今風に言えば隣のWi-Fiを勝手に使っているようなもの、と言えば言い過ぎだろうか。しかしもし和歌山が隣に大都会のない高知や福井のような立地であれば今民放がいくつ見られただろう。

 

テレビだけではない。受験時代の友であった深夜ラジオもたくさんの局を受信できた。ヤンタンヤンリクは今でも懐かしく思い出す。私が後に生涯の趣味になるオーディオ、東京に秋葉原があれば大阪には日本橋があった。神田の古書街ほどではないが梅田やなんばにも古書の街があった。

 

大学時代によく通った「名画座」では数え切れないほどの名作を格安料金で見ることができた。それらのいくつかは今でも私の大きな心の糧だ。

 

いわば我々和歌山(少なくとも紀北地方の)県民は有形無形、大阪の大きな恩恵に預かってきた。そのことは否定しようのない事実だ。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/84f339bab597db788d01022e02935de23f240673

そんな大阪なのに時々、我々を落胆させるような事件をやらかす。電車のホームで並ばないとか青信号にならない内に歩き始めるなどこれに比べれは可愛いものだ。

 

公務員なのである。「公僕のしもべ」なのである。今回のコロナ騒動で一番被害を被っているのは飲食店。「酒を出すなら営業するな」なんて死ねと言われているのと同じではないか。

 

食い倒れの町大阪ではないか。自分で自分の首を絞めるような真似はやめてくれ。

料理の鉄人


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https://www.sankei.com/life/news/210425/lif2104250044-n1.html

神田川俊郎さん死去。男性の平均寿命とは言え、コロナに罹患していなければとの思いは残る。写真は昔から我が家の書棚に並んでいた神田川さんの「酒の肴」という本。私は買った覚えはない。なぜサイン入り本があるのだろう。オークションなどなかった時代。親、もしくは知り合いが北ノ新地の神田川さんの料亭に行ったのだろうか。

 

神田川さんはそれこそ幅広い活動、功績を残しているが私にとって思い出深いのは何と言っても「料理の鉄人」だ。

 

 「料理の鉄人」は毎週金曜日23時からの放送。何と面白い番組かと驚嘆した。週末たまに滋賀県から帰省する折は親に録画を依頼して着いた日の深夜に見ていた覚えがある。日曜の夜、自宅に戻るまでの時間が待ちきれなかったのだろう。

 

そのピークが正月特番での「和食の鉄人」、道場六三郎さんとの対戦だった。勿論、録画などせずリアルタイムで見たが格闘技でもこれほど興奮したことはなかった。

 

今書いていて気付いたがそう、本当に面白い番組は録画なんかしないのだ。「ショムニ」や「白い巨塔」も録画しなかった。今はそんな番組あるのだろうか。少なくとも私にはない。

 

多くのテレビ番組がそうであるように下手にヒットしたのが仇となりパート2や類似番組が続出したが、何れも最初の番組を超えるものではなかった。と言うより酷いくらいに下回った。

 

まあ、このことはテレビだけではなく映画、文学、その他一般広く当てはまるが。

 

「~パート2」や「続~」と名の付くもので最初のものより面白かったものなど存在するのだろうか。

 

五木ひろしさんがある後輩歌手に「僕と同じレールを走っている限り永遠に僕を抜けないよ」と言ったとか。何十年も前に床屋で順番を待っているときに読んだ週刊誌。

 

こんな古い記事を覚えている私は何者なのだろう。

 

喜ぶべき?

何度見ても泣ける。

https://youtu.be/qt0pBtjxz98

 

サントリーはこんなものを作らせると本当にうまい。東日本大震災発生時、重苦しい自粛ムードの中で流れた坂本九さんの名曲を使ったCMには皆心を動かされた。

 

このCMで父親を演じている國村隼さん、私と4歳しか違わない(貫禄は大違いだが)上に大阪育ちで子供時代は吉本新喜劇を見るのが何よりの楽しみだったとのこと。嬉しいではないか。

 

 

偶々点けた番組で女子高校生への「父親を好きか?」という質問で2000年は好き37%嫌い63%だったのが、2019年は好き84%嫌い16%になっているという。数字だけ見れば良いように思えるがその後の何故好きか?のインタビューを聞くとそう単純に喜んでばかりもいられない。彼女らの答えは

「ねだれば何でも買ってくれる。」

「友だちのことを母親のように根掘り葉掘り聞いてこない。」

中には

「食事に付き合うだけでお小遣いをくれる。」

なんて答えもあり、父親とパパ活と混同しているのではないかと疑ってしまわざるを得ない。でも私がここで問題にしたいのは2番目の答えだ。子供には出来るだけ欲しがるものを与えたいし、お小遣いも不自由をさせたくない。

 

でも友だち関係含む私生活に口を挟まないというのは愛情とは違うと思う。勿論20歳を過ぎれば別人格の大人として尊重すべきだが、高校生まではある程度は親が責任を持つべきだ。万一犯罪に手を染めてもマスコミに名前が載らないことを考えてもその事は明らかだ。

 

偉そうに言ったが私はこのCMの國村隼さんのようにはとてもなれなかった。ふたりの娘それぞれにこのような機会があったのだろうが照れ隠しで彼氏を家に連れて来る前に呑んでしまい、どんな受け答えをしたのかすらハッキリとは覚えていない。本当に情けないが、間違いのない相手を選ぶ眼はちゃんと持ってくれていた。これを父親の育て方が良かったことにしておこう。

 

残るは息子が彼女を連れて来るであろうXデーだが、今から考えても仕方ない。どうせ呑んでいることだろう。せめてもの救いは私の酒癖が悪くないことだ。

 

 

平等ではないが仕方ない

今日はJR福知山線事故の発生した日。この事故で重傷を負った人のドキュメンタリーを見たが今でも足が痛み、歩くのも思うに任せない。この人が一番辛かったのは「助かって良かったね」という言葉だったらしい。死んだ方がどれほど楽だったか…。100人を越える犠牲者にばかりに目が向くが、こんな人も居るということを忘れてはならない。

 

鉄道事故といえばこの事故も忘れられない。というか私にとっては福知山線事故以上に。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%A1%E6%A5%BD%E9%AB%98%E5%8E%9F%E9%90%B5%E9%81%93%E5%88%97%E8%BB%8A%E8%A1%9D%E7%AA%81%E4%BA%8B%E6%95%85

 

ここの説明にもあるが当時信楽陶芸博が開かれており、連日大勢の観客で賑わっていた。平日の昼間。突然、会社に館内放送が鳴り渡った。

「只今滋賀県警より連絡があり、信楽鉄道で事故が発生した模様です。ご家族や知り合いの方で心当たりのある方は至急連絡して下さい。」

幸い、私の知り合いで巻き込まれた人はいなかった。

 

事故後ある人から聞いたのだがしばらくの間この近辺の病院は無償だったらしい。一言窓口で「事故電車に乗っていた」と言うだけで。勿論、乗っていたことの証明など不要だった。足腰痛だけでなく頭痛やめまいも事故の影響と言えないこともない。JRが近辺の病院に「事故電車に乗っていた人の治療費は全額出す」と約束していたのたろう。あまり信じたくない話だが無償治療最終日には大勢の患者(?)で病院は軒並み満員だったと言う。

 

コロナで病院が逼迫し、他の病気の治療や手術が後回しになっているらしい。難しいところだ。生命に軽重がないのは当然だが感染病治療を優先しなければならない事情も分かる。

 

但しこれだけはハッキリ言える。被害に合うのなら大事故の方が優先されるという事だ。地震のような天災でも事故や事件でも被害規模や被害者が多い程、国や保険の優遇措置を受けやすい。例えば地震で家が全壊しても被害に合ったのか10件か1万件かでは全く扱いは変わってくる。自分の家が崩壊したという事実は何ひとつ違わないのにだ。

 

チャップリンの映画「殺人狂時代」のセリフ「ひとり殺せば犯罪者だが1万人殺せば英雄だ」を持ち出すのは適当ではないかも知れない。しかし後段のセリフ「数がすべてを正当化する」はその通りだと思う。

第2の敗戦

「第2の敗戦」という言葉、聞いたことはあったが具体的にどの事象を指すものか知らなかったし、実際特に決まった用例はないようだ。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/world_progress/

3番目のグラフを見て欲しい。国民一人あたりのワクチン接種率だ。驚いたことにというか、予想通りというか日本は断トツで低い。

 

一体何をやっているのか。最新の情報では7月中に高齢者、9月中に対象者全員の接種を終えたいと言っているそうだが、その時オリンピックはもう終わっているではないか。

 

たまたま話す機会のあった知人に聞いたが、医療関係者の接種も未だ終わってないそうではないか。オリンピックが始まればそれでなくても逼迫している医療従事者の何人かは選手村専従になるのだろう。とても正気の沙汰とは思えない。

 

これを第2の敗戦と呼ばずして何と呼ぶ。

缶チューハイ~合縁奇縁

先月、妻の長年の念願であった風呂のリフォームを行った。私は子供の頃からのカラスの行水派であまり関心はなかったが入浴時間が長くなっていることを指摘された。やはり居心地がいいのだろう。風呂のリフォームについてはこれまでも2.3回見に来て貰って事はある。何れも「このスペースに入る浴槽はない」と断られ、妻も私も半ば諦めモードだった。処が…。

 

2ヶ月ほど前のある日某公務店のチラシが入った。見ると来場記念品がマスク50枚とのこと。これは行くしかない!

 

入口でマスクは渡されなかった。自身からアンケートを書きに行き渡したがまだくれる気配はない。仕方ないので「マスクはくれないのか」聞いた。すると「マスクは実際に見積もりに行かせてもらった方に渡しています」とのこと。そんなことチラシに書いてなかったぞ!

 

ゴネても仕方ない。それなら風呂を見に来てもらおう。どうせ出来ないのだから。マスクを受け取り帰宅した。

 

その日の夕方、やってきた。「どうだ。無理だろう。」私の予測とは反対に「何とか出来ると思います。」エーッ。話が違う。

 

100万円強の出費にはなったが結果は大正解だった。風呂好きでない私ですらそう思うのだから妻の喜ぶまいことか。

 

 

2週間ほど前ドン・キホーテに行った。するとお酒のコーナーに賞味期限近のものが格安で売られていた。その中に麒麟特製レモンサワーがあった。50円。迷う理由はない。

https://www.kirin.co.jp/products/rtd/kirinstrong/#_ga=2.80940948.2023500221.1619139714-2085094746.1619139714

 

これが旨かった。今若者を中心にチューハイ人気が高まっており、数えきれない程の新商品が出ていて正直、私も何が良いのか分からなかった。しかしこれで迷いはなくなった。本品が売られている限り、これを買い続ける。多分買い続ける。

 

風呂といい、チューハイといいどこに繋がりの糸が転がっているか分からない。人間も同じなのだろう。

ビートルズ

少し前に昔、姉が購読していた雑誌の読者コーナーにジョン・レノンの毛髪が売られていた話を書いた。過去のニュースを捜すと海外ではあるが400万円で落札されていた。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-35628303

 

私はドンピシャのビートルズ世代てはない。現役時代の記憶も殆どない。僅かに東芝のステレオのCMに歌っている映像が使われていたこと、1966年の来日インタビューの模様が少年サンデー?に掲載されており、リンゴスターが何か望みはあるか聞かれ「他のメンバーと同じ位の身長になりたい」と答え、皆の笑いを誘ったことなどを覚えている位だ。

 

LPレコードは数枚持っていたが全部売却した。イエスタデイのシングル盤はアップルに因んだ赤色のレコードで、これは少し高く売れた。CD時代に入り、今はいわゆる赤盤青盤を持っているだけ。到底マニアなどと言えた立場ではない。

 

今もあるか知らないが、滋賀県南草津駅の裏にホームセンターがあった。ペットを扱っていることもあり会社帰りによく立ち寄った。当初298千円で売られていたセントバーナードの仔犬が買い手のないまま、どんどん大きくなり、それと反比例して半年程の内に98千円まで値段が下がった。私は時々自分でも驚くほど大胆な行動に走ることがあるので、あの頃もしマンション住まいでなかったら本当に買っていたかも知れない。寿命的に今も生きているか微妙だがもし飼っていたらその後の人生に少なからぬ影響があったと思う。

 

そのホームセンターではいつ行ってもビートルズナンバーが流れていた。それも特定の20-30曲のローテーション。1時間も居れば当然同じ曲を2回、3回と聞くことになるのだがそれが全然嫌ではないのである。もう充分、他の曲を聞かせてくれとならないのである。こんなこと、他のどのアーティストのどの曲でも起こり得ない現象ではなかろうか。

 

いや、音楽だけではない。本、映画、ドラマ、お笑い、スポーツ、自分が良いと思って他人に奨めても必ずしも相手が気に入るとは限らない。自分が奨められた場合も同様だ。

 

そんな中、ひとりビートルズだけが世代、そして恐らくは国境をも越えて広く聞かれ親しまれている。もしビートルズを知らない人(そんな人この世に居るか知らないが)にビートルズを奨めて、気に入られないなんてこと想像出来るだろうか。

 

天才の天才足る所以である。