生活に影響を及ぼした画期的な製品(が未だない頃)

現在30~40代以下の世代で日常生活に欠かせないものと言えば圧倒的に「スマホ」であろうが、50代以上の一定数以上にとって画期的、かつ喉から手が出るほど憧れた製品と言えば「ビデオデッキ」ではなかろうか。

 

若い方も話には聞いたことがあろうが、40~50年前はテレビは一家に一台が当たり前

(さすがに物心ついた頃にテレビのない家は近隣になかったが、電話のない家はまだ結構あり、電話帳にも呼マーク付きで近くの電話を持っている家の番号が載っていたように記憶している)、録画なんて夢のまた夢という時代であったから見たい番組があるときはとにかく先ず家に居なければならない、居たとしても次は家族間のチャンネル争いに勝利しなければならない。特にうちの父親は食事も含め、およそ子供に譲るという気持ちを持ち合わせていない人だった上、公務員だったので帰宅も早く(当時の公務員は暇だったのです)、その競争は結構熾烈なものがあった。

 

そんな中、姉はおとなしい性格で見たい番組の主張をすることもなかったが、唯一の例外がアラン・ドロン(フランスの俳優)の大ファンで当時出ていた日本のCMが唯一、「日曜洋画劇場」の中で流れるということで一週間の中でこの2時間だけは父も私も大人しく、映画鑑賞にお付き合いすることに。部屋に戻ってもすることないし。

 

しかし、半分いやいや見ていた映画の中にも思わず引き込まれたり、感動させられたりする作品もあり、それらが今の私の人格や見識の一角を形成していることに間違いなく、このことは機械の進歩と人間の感性・能力が必ずしも比例する関係にはないことを示唆しているように思える。