眼力

岸部四郎さん死去。71歳。最近若手役者の自殺が相次いだが私には岸部さん訃報の方が遥かに衝撃が大きい。芸能界デビューは失踪したメンバーの穴埋めだったがやる気があるのかないのかよく分からない飄々とした雰囲気がたまらなく好きだった。

 

前にも書いたが男の平均寿命は80歳で我々も何となくその位まで生きられるのではと思いがちだが、90歳まで生きる人、100歳まで生きる人も居ればは60歳、70歳或いはもっと早く亡くなる人も含めての平均だ。岸部さんの死もけして他人事とは思えない。

 

今の私の健康状態や身体の傷み具合が同年代男性と比べどうなのか分からない。ただ間違いなく言えるのは、こと眼に関しては人一倍頑健だということだ。今でも眼鏡なしに新聞を読むことに何の不自由もない、と言うか眼鏡そのものを所有したことがない。

 

医者通いもそうだ。私は次項に書く緊急事態を除き、50年以上眼科のお世話になったことがない。50年前の通院も、ものもらい(我々はめばちこと読んでいたが方言だろうか)の簡単な療治のみ。

 

そう言えば当時の子供はよく、ものもらいに罹ったが最近は余り聞かないように思う。何が改善されたのだろう。

 

家の家族も全員眼に関しては良い方だった。父親も85歳で亡くなるまで眼鏡なしで新聞を読んでいたし、母も同様。僅かに姉が中高生の頃、仮性近視とかで若干視力が落ちたが、それでも0.3とか0.5とかのレベルではなかったか。

 

野球で何百球と投げても球威の衰えない投手を評して「地肩が強い」と言うが、さしずめ我々の家系は「地眼が強い」のだろう。本当に有難いことだ。

 

三重苦の聖女ヘレンケラーが眼(見る)、耳(聞く)、口(話す)のどれか与えられるとすればどれを選ぶか聞かれ、大方の人が眼を選ぶだろうと予測していたが彼女の答えは耳だったという。理由は忘れたがテレビ離れしてラジオを聴くようにしたら日常生活の効率ばかりか体調も良くなったという話を聞くとそれもありなん、という気がしてくる。

 

私も、耳(聴力)に関してもそれ程の衰えは感じていない。口は?口の悪さは人後に落ちないが、これは健康と関係なさそうなのが幸いだ。