三つ子の魂百まで

昨日まで紀伊半島直撃と思われてた台風12号がだいぶ進路を東寄りに変え、関東上陸の可能性が高まってきた。そうなった途端、今夜のニュースはどこもトップが台風だ。今更腹も立たないが。

 

趣味といえば45年この方、オーディオとクラシック音楽しか挙げられないのはいいことか悪いことか。それはさておき、このけしてメジャーと言えない2分野で圧倒的な存在感を誇った評論家が2人いた。長岡鉄男さん(オーディオ)と宇野功芳さん(クラシック)だ。私は中学生の頃から彼等の著作やコラムを読みふけった。長岡さんは今もよく使われるCP(コストパフォーマンス)という言葉の創作者ではないか。

 

この二人に共通しているのは例え相手が大会社、人気者であっても自分の気に入らないものは気に入らないとハッキリ書いた、その勇気である。(宇野さんは随分晩節を汚したという意見もあろうが。)

 

例えば長岡さんは大会社イチオシの新商品でも気に入らなければ、ハッキリそう書いた。逆に小さな会社、マイナーな会社の商品でも目に止まれれば積極的に推奨した。宇野さんもそうだ。当時、クラシック界ナンバー1の大スターと言えば誰もが名前くらい知っていると思うが言うまでもなくカラヤン。処が宇野さんは大のカラヤン嫌い。膨大な彼のディスコグラフィで宇野さんが誉めたのは二桁あるだろうか。中には自身が執筆したレコードの解説文に「この演奏は上出来ではない」と書いていることもあった。

 

さて、そんな二人の文章に中学生の頃から慣れ親しんできた私。知らない内に影響を受けたのだろう。例え相手がどれだけ力を持っていようと自分の意見を貫き通すのがカッコイイと思い込んでしまっていた。それが一番良くない形で出たのが前に書いた組織や上司との軋轢や対立だった。

 

長岡さんや宇野さんは書いた意見が自社に都合の良くない内容でも受け入れられた。オーディオメーカーもレコード会社も彼等の文章を渇望した。

 

私は人気も実力もないのに自身の意見を主張した。これでは受け入れられる訳がない。気付くのが遅過ぎた。