筒美京平さん

ミケランジェロの大作「システィーナ礼拝堂天井画」。

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ここを訪れたゲーテはこう言った。

「人が一生の内に何を成し遂げられるか、これを見るまで分かるまい。」

 

偉大な人は多いが、とても人間業とは思えない(質量ともに)業績を残した人、彼らこそ天才と呼ぶにふさわしいのだろう。モーツァルトも作曲に要した時間内に一般の人は写譜することすら出来ないという桁外れの天才だった。

 

先日亡くなった筒美京平さんや作詞家の故、阿久悠さんを彼らの同列に語るつもりはないが、その業績の幅広さ、圧倒的な認知度は常人のスケールをはるかに超えていることに異論のある人はいまい。

 

筒美さんの追悼番組をいくつか見たが、「サザエさん」までが筒美さんの作品だったとは!50年近く前、「ヘイジュード」がビートルズの作品だということを知った時に同じような感慨を覚えたことを思い出した。

 

その筒美さんのトリビュートアルバムが来春リリースされるという。

https://natalie.mu/music/news/405908

その内容を少し見たが、ちょっと待ってくれ。この話を聞いた時、最初に思ったのが「頼むから初発の時の歌手、歌唱で出してくれよ」ということだった。オリジナルの歌手でも再録する度に勝手なアレンジや唱法で同じ曲とは思えないほどひどい音楽になってしまうことが多いからだ。いい例(悪い例?)が山本譲二さんの「みちのくひとり旅」で作曲家のキダタローさんが怒り心頭だったことは記憶に新しい。

 

それでもオリジナルの歌手が歌っているのならまだいい。今回のアルバムは何だ。筒美さんを尊敬し、影響を受けてきた連中の集まり?冗談じゃない。

 

イギリスのダイアナさんのように音楽家ではなかった人の追悼アルバムに各自が持ち歌で参加するなら分かる。筒美さんのような大作曲家の追悼アルバムに才能も認知度もはるかに劣る面々がどの面下げて参画しようと思えたのか?

 

いかん。今まで築き上げてきた美文が保てない。筆を置く。