理解できない

松下電器にいた頃、人事部にコネのある上司から聞いた話。ある年に採用された女子社員を各部署に割り振るに当たり、希望を募ると圧倒的な人気の子が居たそうだ。しかもその子、他は皆短大卒の中でひとりだけ高卒だった。面接でそのことを聞かれると「うちの父は大学なんか行ってもろくな人間にならない、と進学させない主義でした。」

 

結局その子は人事部所属となった(怒)。

 

残念ながらその子との接点はなく、何回かうちの部署に来ていた時にチラ見した程度だが正に「お嫁さんにしたい女優ナンバーワン」という感じだった。ちと例えが古いか。

 

 

今、最も胸を締め付けられるニュースと言えば親による子供の虐待だ。最近も直接の犯行は親ではないが子供に熱湯シャワーを浴びせて死なせる事件があった。

 

昨日、今日と続けてふたつの番組を見た。何れもコロナ禍で生活が苦しくなった若者を取り上げていた。ここ何ヶ月も1日1食しか食べていないとか、所持金が数百円しかなく毎日ネットカフェを転々としているとか。

 

こんなニュースに接する度、私は不思議に思う。「何故親を頼らないのか?」、「何故親も放っておくのか。」いや、中には親の迫害を逃れて一人暮らしを始めたという者もいると言う。もう訳が分からない。一体今の家庭はどうなっているのか。

 

生活保護の申請に行くと親族からの援助は受けられないのか聞かれると言う。当たり前ではないか。子供が幾つになろうと困っていたら助けてやる。親なら当然だろう。その逆も然りだ。援助しないのは形を変えた虐待に他ならない。

 

ついでだが日本では大学や専門学校に行っていると生活保護を受けられないことをさも思いやりがないかの如く話している人も居たこれも当たり前ではないか。義務教育ではないのだから。初めの例ではないが親の方針で大学に進学出来なかった人、数は少いが中卒で働いている人も居るのだ。彼等は税金の恩恵に預かるどころか税金を払っているのだ。

 

さすがに兄弟やおじ、おばには頼みにくいこともあろう。しかし親にすら頼れないとなるとこれはもう動物以下だ。

 

「どうしても東京に行くのなら今後一切面倒はみない。」

「どうしても○と結婚するのなら〜。」

仮にそんなやり取りがあったとしても、血を分けた親子の縁はそんな薄いものではないだろう。子供が、親が事故や重病になっても放っておくのか。

 

動物の子育てのビデオでも見て少しは勉強してはどうか。